友達や先輩、後輩などの繋がりは大切ですが、金銭絡みの勧誘が絡んだ時には注意が必要です。
困ったなあ。先輩が「俺の受講した絶対もうかる投資セミナーに申し込め」って、しつこいんです。
…足尾さん、投資資金を持っているんですか?
失礼な。僕は意外と小金持ちなんです!でも、「投資セミナー」というのが、どうも胡散臭くて…。
そうね。ちょっと考えた方がいいかもしれないわね。
あ、えりさん!
足尾さんは、「マルチ商法」の勧誘を受けている可能性が高いわ。
マルチ商法!? ニュースでは聞いたことあるけれど、まさか先輩がその手先だなんて…。
「ネットワークビジネス」とも言いますよね。親しい人の誘いだと、つい乗ってしまったり、断りづらかったりすることにつけこんだ商法です。最近は「SNSで知り合った人と会ってみたら、強引に勧誘された」という被害も報告されているみたいですよ。
僕だって、お金はほしいんですけど、「絶対もうかる」っていうのはさすがに信じがたいというか、怪しいというか…。
当たり前よ。早めにはっきり断るべきだわ。
ちなみに、断っているのにしつこく勧誘することは、特定商取引法に違反する行為なんですよ。
特定商取引法の対象となる取引の類型としては、自宅訪問やキャッチセールスなどにより申し込みを受ける「訪問販売」、新聞やインターネット等での広告を見て消費者が申し込む「通信販売」、電話勧誘により申し込みを受ける「電話勧誘販売」、個人を販売員として勧誘し、さらにその個人に次の販売員の勧誘をさせて販売・取引を拡大していく「連鎖販売取引」などの7つが指定されているわ。
なるほど。今回の先輩の行為は「連鎖販売取引」に該当するわけですね。
特定商取引法の対象となる取引については、通信販売を除き、万が一契約してしまったとしても、クーリング・オフ(契約解除)の手続きが可能よ。
確か、取引の類型によって、契約書面を受け取った日から8日あるいは20日以内であれば、無条件で契約解除ができるんでしたよね。
そうね。ただ、「書面で行う」など、定められた方法に従って行うことが必要なの。消費者庁のウェブサイトなどに、クーリング・オフに関する詳しい情報が載っているから、万一意に反した契約をしてしまった場合には、参考にするといいわ。
でも、いい先輩なのにな…。仕事でもかかわるし、これからギクシャクしないといいんですが。
今まで築き上げてきた人間関係が、こんな形で崩れてしまったら、悲しいことですね。
お金が絡むことだから、それはそれとして、きっぱりと断ればきっと大丈夫よ!
【特定商取引でトラブルにあわないために知っておくこと】
◆特定商取引とは、①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引、⑤特定継続的約務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入、の7つである
◆友人や知人、訪問販売員等から強引な誘いがあったら用心し、不要な場合ははっきりと断る(断っている相手を勧誘することは、特定商取引法違反となる)
◆もし契約してしまった場合も、通信販売以外については、規定の期間内であれば、所定の手続きに従ってクーリング・オフ(契約解除)が可能である
<< 一覧へ戻る