様々な場面で発生しているハラスメント。自分がハラスメントの加害者になる可能性について、考えたことはありますか?
友人が「うちの上司が、Aさんに明らかなセクハラ発言をしたのに、セクハラを認めないし反省もしない」って嘆いてました。
その上司の方には、何か言い分があるんでしょうか?
「自分と部下との間には信頼関係があるから問題ない。Aさんもいつも笑っていた」って言っているそうです。
それ、その部長の思い込みじゃないかしら。
あ、えりさん!
まず、信頼関係があったとしても、むやみに性的な話題を口にしたり、不必要に接触していいわけではないわ。それに、「笑っていた」っていうけど、それは被害に遭った方からしたら、その場をうまくかわすために「苦笑」しただけの可能性もあるわ。
私、先輩に「早く彼氏つくれよ」って言われて、なんて返せばいいかわからないから、とりあえず苦笑いしていたことがあります。というか、ただ顔がひきつっていただけですけど…。
「自分だけは大丈夫。この相手なら文句は言わない。」なんて根拠のない自信を、なぜか持つ人がいるのよね。
ふたりとも、同じような経験があるんですね…。
それと、たとえ直接発言を受けた相手が何とも思っていなくても、周りでその発言をきいていた人が不快になるようなら、直接の相手方に対する環境型セクハラになるかどうかとは別の問題として、周りで聞いていた人に対する環境型セクハラになる可能性があるわ。
環境型セクハラ…って何でしたっけ?
厚生労働省は「職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること」としているわ。
つまり、下ネタを連発したり、身体を触るなどの職場における行為が原因で、労働意欲が低下したり、業務に専念できなくなる状態は、典型的な環境型セクハラということですね!
その通りです!
セクハラの状況は本当に多様で、どういう状況で「就業環境が不快なものとなった=就業環境が害された」かは、判断が難しいことも多いけど、一般的には、身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回だけのことでも「就業環境が害された」と判断される可能性があるわ。
今回のような「発言」は、どうなんでしょう?
発言に関しては、繰り返されると「就業環境が害された」と判断される可能性が高いわ。でも、「明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態」や「心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合」は、一回でも「就業環境が害された」と判断される可能性があるわ。
たった一回の発言でも、職場での信頼は一瞬で失いますよね。
そうね。加害者にならないためには、まず、嫌だという気持ちを、誰もが伝えられるわけではない、と肝に銘じること。相手が嫌がっていないように見えても、職場環境などを悪くしたくないという思いで、笑ったり、何も言わない可能性があるわ。そして、「相手との信頼関係があるから大丈夫」「笑っているから大丈夫」「何も言ってこないから嫌じゃないんだろう」と思い込まないことが大切よ。
女性の部下から女性の上司、同期の女性から同期の男性など、同性、同期、部下から上司の間でもハラスメントは成立するんですよね。私も気をつけないと…。
僕も気をつけます!
最後に、もし、セクハラのように感じる言動を受けた場合は、自分が嫌な思いをしているということを、相手に勇気を持って伝えることが大切よ。もし、発言した相手に伝えづらくても、一人で抱え込まないで、周囲や、社内の相談窓口に相談してみることも忘れないでね。
【セクハラ加害者にならないために】
◆ 信頼関係があるとしても、性的な話題を口にしたり、不必要な接触などをしていいわけではない
◆ 相手が必ずしも嫌だと言うとは限らないと肝に銘じる
◆ 嫌がっていないから・笑っているから、大丈夫などと思い込まない
◆ ハラスメントは、同性、同期、部下から上司の間でも成立する
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