第一法規株式会社|教育研修一覧

2019/09/10号

~請求書が先?支払いが先?~の巻

line

発注先の下請業者から請求書が送られてこない場合、支払いはどうすればよいでしょうか?

下請業者が、請求書を送って来ないくせに、「先々月、納品した分の代金がまだ支払われていない」と文句を言って来ました。

支払っていないんですか?

請求書を受け取っていないんだから、当然じゃないですか。

それは問題よ。

あ、えりさん!

どうしてですか?

下請法では、納品物を受領した日から60日以内で、お互いが合意した支払期日までに下請代金を支払うことが発注した側の義務になっているのよ。

足尾さん、この間も別件であやうく支払遅延になるところでしたよね。

足尾さんには、下請法について、ただちに勉強し直してもらう必要があるわね。

す、すみません(汗)、えりさん、教えてください!

受領後60日以内に代金を支払わない場合、下請法が発注側の親事業者に対して定めている禁止事項の一つである「下請代金の支払遅延」にあたるのよ。

前回支払遅延になりかけた原因は、検品が完了しているかいないかに関わらず、納品物の受領後60日以内に代金を支払わなければならないということを理解していなかったからですよね。

はい。検品が終わらないと納品とはいえないから、受領にならないと思い込んでいました…。

下請法でいう「受領」は、納品物などの検品の有無に関わらず受け取る行為を指しているの。忘れないでね。

はい、肝に銘じます。でも、今回は下請業者が請求書を送って来なかったから、支払う必要はないと思ったんです。

先方は約束通りに仕事をしてくれたんだから、代金を支払う必要はあるのよ。請求書が先方から届かないことを理由に、あらかじめ定められた期日より支払いが遅れることも、下請法の違反事例として、公正取引委員会の下請法ガイドブックに挙げられているわ。

知らなかった。請求書があってもなくても、支払いは遅れてはいけないということですね。

たとえ下請事業者の了解を得ていて、親事業者に違法性の意識がなくても、下請法を守らなかったら、下請法違反となるわ。

厳しい…。すぐ代金を支払ってきます!


下請法違反にならないために
◆発注側は納品物を受領した日から60日以内の、お互いが合意した支払期日までに下請代金を支払わなければならない
◆受領後60日以内に代金を支払わない場合、下請法が定めている禁止事項の一つである「下請代金の支払遅延」となる
◆「受領」とは、納品物などの検品の有無に関わらず受け取る行為を指す
◆請求書が届かないことを理由に、あらかじめ定められた期日より支払いが遅れることも、下請法違反となる

<< 一覧へ戻る

line