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2019/11/12号

~介護離職はしない!させない!~の巻

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多くの人が直面することになる「介護」。それまでの生活が大きく変化することになりますが…。

商品開発部の及川部長、しばらくお休みらしいですね。指揮官不在で、商品開発部はだいぶ混乱しているみたいですよ。

故郷で一人暮らしをされているお母さんが骨折したんだって。このまま介護離職なんてことにならないといいんだけど…。

及川部長なら、介護の体制が整ったら、戻ってこられると思うわ。

あ、えりさん!

実は先日ご本人から相談を受けて、介護保険や会社の介護支援の制度について、説明したの。それで、介護休業を取得されたのよ。

そうだったんですね。ある日突然、親の介護が必要になったら、僕だったらパニックになります。

経団連の資料※によれば、介護離職の要因として「初動時のつまずき(介護に直面した際に必要な手続きや相談先がわからず混乱する)」「介護を抱え込むことによる心身の疲弊」「社内で相談できないことによる孤立」が挙げられているわ。

突然介護が降りかかってきて、何をしていいのかわからず混乱して、くたびれて誰にも相談できず、仕事と介護を両立する自信を失って、辞めてしまうという流れでしょうか…。

実際、介護休業や休暇がどのくらい取得できるのかすら、ほとんどの人が知らないのが現状だと思いますよ。

法律の規定では、介護休業は、要介護状態の対象となる家族を介護するために、対象1人につき通算93日まで、最大3回まで分割して取得することができます。介護休暇は、同じく1人につき1年に5日まで、1日または半日単位で取得できます。

あと、仕事と介護を両立して働き続けるための制度として、所定労働時間の短縮措置とかもあったような…。

ありますよ! そうした制度の利用などを理由として、事業者が労働者に降格や退職強要などの不利益を与えることは法律で禁止されているから、安心して制度を利用できるんです。

会社によっては、法律で定めているよりも、より充実した支援制度を設けている場合もあるから、まずは自分がそうなった時にどんな制度を利用できるのか、といったことだけでも調べておくと、いざという時の混乱が少ないんじゃないかしら。

介護が必要になったら、真っ先に各自治体の「地域包括支援センター」に相談するとよい、という話も聞いたことがあります。

地域包括支援センターは地域ぐるみで高齢者を総合的・包括的に支える機関で、ケアマネジャーや社会福祉士、保健師が相談に乗ってくれるのよ。

それにしても介護のことを社内で相談できないと辛いですよね…。僕は絶対みんなに相談します。

身近で介護をしている人、したことがある人がいれば、話を聞いてみるのもいいわね。

介護している人を孤立させない、風通しのよい職場であることが、大切なんじゃないでしょうか。

介護は決して他人事ではないわ。介護で休んでいる人が職場にいても、「お互い様」という気持ちを忘れないことね。


及川部長が戻ってきたら、温かく迎えましょう!

※一般社団法人日本経済団体連合会報告書「仕事と介護の両立支援の一層の充実に向けて~企業における『トモケア』のススメ~」(2018年4月)


仕事と介護を両立させるために必要なこと
◆介護保険制度や介護支援制度の基礎知識
◆介護初動時の地域包括支援センターへの相談
◆介護のことを一人で抱え込まない
◆介護している人を孤立させない、風通しのよい職場づくり

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