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2020/04/14号

~会社をあげてパワハラ防止!~の巻

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パワハラで職場環境を悪化させている人が野放しにされている、なんてことありませんか?

システム関連会社に勤める友達が、上司からの当たりがきつくて参っているみたいなんです。彼の同僚もメンタルをやられて辞めたり、休職に追い込まれたりしてるみたいで…。

それって、要するにパワハラってこと?

たぶん。その上司は、仕事ができて、上層部の覚えがめでたい人らしいです。だから、部下の扱いがいくらひどくても、会社は知らんぷりみたいで…。

そんな状況をなくすために、法改正がなされたのよ。

あ、ヨーコさん!

労働施策総合推進法が改正され、2020年6月からパワハラ防止措置が企業に義務付けられたの。(ヨーコ注:中小企業は2022年3月31日までは努力義務。)企業は今後、相談窓口を設けたり、パワハラへの処分内容を就業規則に規定しなければならなくなるのよ。

組織として、本気でパワハラ対策に取り組まなければならない時代になったということだね。

そもそも、何をする(される)とパワハラ、って言い切れるんでしょうか?

厚生労働省の出した通称「パワハラ指針」では、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、この3つの要件をすべて満たすものを「職場のパワハラ」としているわ。

たしか、「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しない」という一文もついていたような…。

はい。この一文の、「客観性」というのがポイントですね。指針によれば、その言動の頻度や、行為者と受け手の関係性、業種など、様々な要素を総合的に考慮することになります。あとは、「平均的な労働者の感じ方」として、仕事をする上で支障になりそうな言動かどうか、という点も基準になるんです。

つまり、行為者が「相手のために行った適正な指導だ」って思っていれば、何をしても許される、というわけではないということですね。

もちろんよ。その点は、ハラスメント全般で共通しているわ。「これを言ったら(これをしたら)、相手がどう感じるか」を基準にして行動すれば、たいていのハラスメントはなくなると思うんだけど…。

パワハラに限らず、ハラスメントについて啓発し、会社としての方針を従業員にしっかりと伝えることが必要だね。

確かに、周りから見て「明らかにパワハラ」な人ほど、ご本人は自覚がなかったりしますもんね…。

それにしても、お友達は心配ね。法律の施行までには、会社に内部通報窓口やハラスメント相談窓口が設けられるはずだから、そこに通報すれば、職制を通じた指導を行ってもらえるはずよ。ただ、一刻も早く解決したいなら、例えば全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーなど、外部の窓口に相談してみたらどうかしら。

ありがとうございます~(涙)。さっそく友達に教えます!


パワーハラスメント対策のために知っておきたいこと
◆職場のパワハラとは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、この3つの要件をすべて満たすものをいう
◆ただし、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しない。また、個別の事案がパワハラかどうかの判断には、その行為の頻度や、行為者と受け手の関係性、業種などの様々な要素を総合的に考慮することが必要である
◆「これを言ったら(これをしたら)、相手がどう感じるか」を基準にした行動が大切

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