特定の商品と他の商品をセットにして販売する方法、問題ないのでしょうか?
(~昼休憩中~)最近、トイレットペーパーの品薄状態が続いていますね。もうすぐ家にある分がなくなっちゃいます(泣)。
生活必需品だから、ないと本当に困るよね。あっ、そういえば昨日、会社の近くのお店に在庫があったよ! ただ、トイレ清掃用品とのセットでしか販売されていなかったけど…。
えぇー、トイレットペーパーだけが欲しいのに…。
その販売手法、あぶないわね。
あ、ヨーコさん!
そうやって、ある商品を販売する際に、他の商品も同時に購入させることを、「抱き合わせ販売」というの。
あ、聞いたことあります! 人気の商品を不人気の商品とセットにして販売する手法が典型的ですよね。
そうよ。「抱き合わせ販売」について、公正取引委員会は、『複数の商品を組み合わせることで新たな価値を加えて、取引相手に商品を提供することは、技術革新・販売促進の手法の一つだから、それだけですぐに独占禁止法上問題とはならない』としているわ。
え、じゃあ、トイレットペーパーとトイレ清掃用品のセット販売も問題にならないんじゃ…?
ただし、「不公正な取引方法」とみなされるセット販売は、独占禁止法で禁止されているの。具体的には、①顧客などの取引相手が不利益を被る場合、②市場での競争業者の取引の機会を奪う・新規参入を妨げるおそれがある場合、の二つね。
他の商品とのセット販売のみで、不必要な商品も購入せざるをえないなら、顧客は不利益を被りますね!
ええ。逆に、セット販売だけでなく単体販売もあるなら、顧客はどちらか選べるから、不利益を被るとはいえないわ。
ほぉ~。
それと、テイテイが見た販売手法でもう一つ問題なのが、品薄商品の「抱き合わせ販売」よ。
品薄商品なら、他で買えなくて、仕方なく不必要な商品とのセットで購入する人も多いですよね…。
そうなの。売れるとわかっているから、そこに便乗して利益を追求する企業が出てくるのね。でも、公正取引委員会は『商品の供給が不足していて、その商品に代わる商品がない状況で行われる「抱き合わせ販売」は、独占禁止法が禁止する「不公正な取引方法」につながるおそれがある』と公表しているわ。このことからも、テイテイが見た販売手法は独占禁止法上問題になる可能性が高いの。
確かに、品薄の商品を購入するために、不必要な商品も一緒に購入しなきゃいけないって、変だよね。
商売上手といえば聞こえはいいかもしれませんが、商品が品薄状態なのをいいことに、そういう販売手法をとってしまうと、公正とはいえないし、法令違反になるだけではなくて、企業のイメージも悪くなってしまいますよね。
そのとおりね。だから、販売手法には十分気をつける必要があるわ。…ちなみに、トイレットペーパー、この通販サイトでならまだ売っているわよ。単体でね。
本当だ! …すぐ注文します!(ものすごい勢いでスマホを操作しだす)
【抱き合わせ販売を行う際の留意点】
◆複数の商品を組み合わせることで新たな価値を加えて取引相手に商品を提供する「抱き合わせ販売」は、技術革新・販売促進の手法の一つで、それだけですぐに独占禁止法上問題とはならないが、不当に行われる場合は、不公正な取引方法として、独占禁止法で禁止されている
◆商品の供給が不足していて、その商品に代わる商品がない状況で行われる「抱き合わせ販売」は、「不公正な取引方法」につながるおそれがある
◆不当な「抱き合わせ販売」は、法令違反になるだけではなく、企業のイメージ低下にもつながるため、販売手法には十分気をつける必要がある
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