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2020/07/07号

~納品完了済の発注書類、さっさと捨ててもいい?~の巻

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書類の整理整頓は大切ですが、納品が完了した案件の発注書類は、すぐに捨ててしまっても問題ないのでしょうか?

ツネヒコさん、愚痴聞いてください! 片づけても片づけても、発注書とかの書類が増えてデスクが汚れていくのがほんとに耐えらないんです。なんでいまだに紙? もう書類を燃やしたいです。

商品開発・品質管理部は発注書とか仕様書とか、書類を山ほど取り扱う部署だから大変だよね~。でも燃やすのはダメ、ゼッタイ。

今までは先輩たちが保管してるから私もなんとなくとっておきましたけど、もう我慢の限界です。この発注書類なんかは3か月も前に納品完了してるから、捨てちゃおう。

その発注書類、下請事業者の○○社に交付したものじゃないの?

あ、ヨーコさん!

そうです。商品自体は3か月前に納品完了しているから、捨てちゃおうと思って。

下請法は、親事業者に「発注書類などの取引に関する記録を書類として作成し、記録すべき全ての事項の記録が完了した日から2年間保存する義務」を課しているの。だから、取引が終わったからといってすぐに捨ててしまうのはダメよ。

あ~、そういえば昔、下請法のセミナーに行ったときにそんなこと教わった気がします…。じゃあ2年たった発注書類は捨てていいってことですよね?

2年間保存する義務っていうのは、あくまで下請法上の義務なの。発注書類などの取引に関する書類を保存する義務は、ほかの法律でも定められていて、原則として法人税法では7年間、会社法では10年間保存することが義務付けられているわ。

え~、初耳です、そうなんですか! 下請法セミナーではそのことは教えてくれなかったです。

あくまで「下請法」のセミナーだからそれは仕方ないわね。ちなみに、下請法には、「取引記録の書類作成・保管の義務」を含めて、親事業者には4つの義務があるって話は聞いたかしら?

え~っと確か「発注書を交付する義務」と「発注時に支払期日を定める義務」と…。もうひとつは…、忘れました!

もうひとつは、「支払いが遅れたら遅延利息を払う義務」よ。

そうでした! 「発注書を交付する義務」は仕事でも意識してます。口頭発注でのトラブルを防ぐため、誰に何を発注したかなど、発注書に記載する事項も詳細に定められているんですよね。

そうよ。ちなみに、「発注時に支払期日を定める義務」「支払いが遅れたら遅延利息を払う義務」は、親事業者が不当な支払期日の変更や支払遅延を行わないようにするために定められているわ。

「取引記録の書類作成・保管の義務」はなんのためにあるんですか?

親事業者の違反行為に対する注意を促すことに加えて、取引についての迅速・正確な調査を行えるようにするためよ。

はぁ~、そうなんですね。納品が完了したからってすぐに捨ててはいけないのは理解しましたけど、じゃあ私のデスクはずっと書類に侵略されたままですか?(泣)

発注書類などの取引に関する書類は、紙で保管が原則だけど、一定の要件を満たせば電子データでの保管も可能よ。

これを機に、会社が定めているルールを確認して、部署全体で、書類の保管方法や保管場所を見直してみたらいいんじゃないかな? いまはキャビネットにもぎちぎちにファイルが詰まっていて、整理整頓もしづらそうだし。それこそ、本当にいらない書類とかもいっぱいあるんじゃない?

う~ん、ちょっとめんどくさいけど…。わかりました! 片づけは大好きなので、上司に書類の整理を提案してみます!

さすがツネヒコさん、いいアドバイスですね。

マユユよりは長生きしている“オヤジ”ですからね! “親事業者”だけに。ハハハ!

いやぁ、ほんと、さすがっす…(まじつまんねぇ…)。


下請法によって、親事業者に課せられている4つの義務
◆発注書などの取引に関する記録を書類として作成し、2年間保存する義務(※ただし、原則として、法人税法では7年間、会社法では10年間保存することが義務付けられている)
◆支払金額、発注内容、納期など、下請法に定められた内容を記載した発注書を交付する義務
◆発注時に下請代金の支払期日を定める義務
◆下請代金の支払いが遅れたら遅延利息を支払う義務

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