会社の営業秘密が流出した場合に、法的な措置を取れるようにするために必要な要件とは?
某企業の従業員が競合他社に自社技術に関する情報を売り渡していたことが発覚して、刑事告訴されたってニュースが出ていましたね。
自社の重要な情報を他社に売るなんて、由々しき行為ね。営業秘密は、内部の人間からの流出だけでなく、サイバー攻撃によって盗まれることだってあるし、企業にとって悩ましい問題よね。
一度流出したら取り返しが付かないし、怖いですね。うちの会社は、だ、大丈夫ですよね?
大丈夫だよ…と断言したいのは山々だけど。
ロクローさん!
何が起きるかわからないのが世の常だよ。秘密というものは、いつ、どこから漏れるか、わかったもんじゃない。
そうですよね。だから、営業秘密のセキュリティは厳重にしつつ、万が一、外部に漏れた場合、会社は被害者に対して誠実に対処し、加害者に対しては法的な措置を検討しなければならないのよね。
結婚生活35年、わたしの秘密は妻にバレ続けているのに、妻の秘密はいっこうに漏れてこないのは、どういうわけなんだろうか。
ロクローさん、思ってることが顔に出やすいタイプですもんね…。ところで、何が「営業秘密」にあたるのかイマイチわからないのですが…?
営業秘密は、企業活動で発生する様々な営業情報や技術情報のうち、「不正競争防止法」の保護対象となる情報のことをいうのよ。顧客リストや得意先リスト、新規事業計画、製品の製法やノウハウ、設計図面など、幅広く含まれるわ。
そうだね。そして、保護されるためには、ただの秘密というだけでは足りない。会社の秘密が漏れたとき、加害者に対して不正競争防止法にのっとって民事・刑事の責任を問うためには、前もって3つの要件をそろえる必要があるんだ。この3つの要件も不正競争防止法で定められているよ。
法律の要件に沿っている特別な秘密でなきゃ、流出したときに「営業秘密」が侵害されたという形では被害を訴えられないってことなんですね。それで、その3つの要件って、何なんですか?
営業秘密の3要件とは、「秘密管理性・有用性・非公知性」の3つだよ。
「秘密管理性」は、客観的に認識できる程度に秘密として管理された状態であること。「有用性」は、その情報が事業活動に利用されていたり、その情報の利用によって経費の節約、経営効率の改善等に役立つ秘密であること。「非公知性」は、他で一般に入手できない情報であること。ですよね、ロクローさん?
さすがヨーコさん! この3つの要件を満たして、営業秘密に該当すれば、不正競争防止法に基づく差止請求をはじめとする民事上、刑事上の措置の対象になりうるんだ。
なるほど。営業秘密として保護されるためには3つの要件を満たすことが大切なんですね。そのために私たちができることといえば、まずは秘密がきちんと管理されるように、重要情報が保管されているキャビネットの施錠やPCのパスワード管理など、「秘密管理」の徹底ですね。
ええ、そのとおりよ! …ところで、ロクローさんの奥さんに対する秘密って、何なんですか?
そんなもん、ここで言えたら秘密じゃないだろう。
いや、表情で、なんとなくわかりますけどね! フフフ。
【営業秘密と営業秘密の3要件】
◆営業秘密とは、企業活動で発生する様々な営業情報や技術情報のうち、「不正競争防止法」の保護対象となる情報のことである
◆営業秘密とされるためには「秘密管理性・有用性・非公知性」の3つの要件を満たすことが必要となる
【秘密管理性】客観的に認識できる程度に秘密として管理された状態であること
【有用性】その情報が事業活動に利用されていたり、その情報の利用によって経費の節
約、経営効率の改善等に役立つ秘密であること
【非公知性】他で一般に入手できない情報であること
◆営業秘密に該当すると、不正競争防止法に基づく民事上・刑事上の措置の対象となりうる
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