第一法規株式会社|教育研修一覧

2021/12/07号

~その働き方改革への取組み、下請先へしわ寄せが行っているかも?~の巻

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働き方改革は、自分たちの会社さえ実現できればそれでよいのでしょうか?

いやあ、忙しい、忙しい! 忙しい~っ!

どうしたんですか、ツネヒコさん。いつもの「忙しいアピール」が倍増してますよ。

そりゃ、本気でヤバいからだよ。仕事を振りたくても、他の人たちも忙しいみたいだし…。せっかく働き方改革で減ったのに、また残業続きは回避したいな…。こうなったら、さくっと外注して、来週までに納品してもらうしかないかな。

ちょっと待って、ツネヒコさん!

ヨーコさん!

外注すること自体は問題ありません。当社の働き方改革を進めるためにも、下請先などに協力をお願いして業務負担を分散するのは重要なことですし。

だよね。じゃあ、なんで「ちょっと待って」なの?

当社の社員の仕事量を調整するために、下請先に対して納期に無理がある発注をしたら、下請先の労働環境はどうなるでしょうか?

あっ…。

切羽詰まったときに短納期で仕上げていただけると私たちは助かりますけど、下請先の従業員の方々は、急な仕事で残業が発生することもあるでしょうね。

下請先とは、本来的には対等な関係ですから、先方は仕事を断ることもできます。でも、今後のつき合いや収入確保のため、納期や条件が厳しい仕事でも断りにくいというのが現実です。そこにつけ込んで納期に無理があるような発注をすることは、下請いじめと言われてもおかしくないですよ。

弱みにつけ込むつもりなんてないよ。『代金はきっちり支払うんだから問題ない』って考えていたんだ。でも、短納期の発注による相手の労働環境への影響までは考えていなかったな…。

確かに、発注する際の窓口の方のお顔はパッと思い浮かびますけど、実際に作業をしてくださる方々と直接の面識がなかったりすると、そこまで想像が至らないところもありますよね…。

ツネヒコさんに限ってしないとは思いますけど、発注者が、下請先の長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更をして、それに対応できなかったことを理由に受領拒否や代金減額などを行った場合は、下請法違反に問われて罰金や社名公表などの罰則の対象となる可能性もありますよ。

働き方改革は、自社だけの問題ではないってことなんですね。

そうね。もちろん、外注してはいけない、という話ではないから勘違いしないでね。納期に余裕を持たせた上で発注をしたり、もしどうしても急ぎでお願いせざるを得ないならば、先方の都合をうかがった上で「特急料金」を含んだ見積りをお願いしたり、といった、相手への配慮が大切よ。

うちの繁忙期がいつなのかはわかっていたんだから、事前に下請先へ相談しておくとか、スムーズに仕事を進めるためにできることはあったはずだなと反省しているよ。

働き方改革に伴って、今後はより一層、従業員ひとりひとりの生産性の向上が求められるでしょうから、まずは自社内で効率的に仕事を進めること、その上で、下請先とよく相談し合いながらお仕事をお願いして、省力化をはかることがベストでは?

その通りだね。無茶な発注をしないよう、肝に銘じるよ。

私も、見通しを持って仕事をして、当社の働き方改革への取組みが元で、下請先に「しわ寄せ」が行ったりしないよう、十分に気をつけます!


働き方改革と下請先への配慮
◆長時間労働の削減などの働き方改革は、自社だけではなく、下請先にとっても必要なことである
◆下請先の長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更をして、それに対応できなかったことを理由に受領拒否や代金減額などを行った場合は、下請法違反に問われる可能性がある
◆外注の際は、納期に余裕を持たせた発注をしたり、どうしても急ぎでお願いせざるを得ない場合は「特急料金」を含んだ見積依頼をしたりするなど、相手への配慮が大切
◆社内で効率的に仕事を進めたり、見通しを持って仕事したりすることにより、自社の働き方改革への取組みが元で下請先に「しわ寄せ」が行かないよう、気をつける

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