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2022/01/12号

~来店者全員に配るプレゼントは豪華な方がよい!?~の巻

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店舗に足を運んでくださったお客様に渡すプレゼント、豪華なものを用意して喜んでもらいたいですよね。気持ちはわかりますが、それ、問題ないのでしょうか?

最近売上げが芳しくないので、まずはお客様に店舗へ足を運んでもらうため、ご来店いただいた方全員にプレゼントをお渡しするキャンペーンを考えているんです。

それはいいですね! きっとたくさんのお客様が来てくれると思います!

せっかくですから、プレゼントは豪華なものにして、喜んでいただきたいなって思って。

その気持ちはわかるんだけど、ちょっと引っかかるな…。

あっ、ロクローさん!

何が引っかかるんですか?

「豪華なもの」って、どれぐらいの金額のものを考えているのかな?

うーん、それなりに予算はあるので、社名が入ったボールペン1本、みたいなのはやめときたいです。

ああ、確かに、ボールペン1本だと、あまり印象に残らないですしね。

贅沢な時代になったもんだなあ。僕が子どもの頃は、鉛筆1本もらっただけで嬉しかったものだけど。…って、ついついノスタルジーにひたる、ノスタルじじいになってしまったよ。それで、いくらぐらいの金額のものにする予定なの?

ロクローさん、さっきからどうして、そんなに金額にこだわるんですか?

コンプライアンス的には、価額が重要になってくるんだよ。来店者全員にプレゼントする景品は、「総付(そうづけ)景品」として、景品表示法で価額に上限が設けられているんだ。

えっ、法律で規制されているのですか?

そうなんだよ。購入を前提とせずに渡すプレゼント、つまり景品は、「200円まで」か「その店舗における通常の取引の最低価額×20%まで」のうち、いずれか高いほうが上限とされているんだよ。

初めて知りました…。なぜそういった規制がされているのでしょう?

消費者が豪華な景品に惑わされて質の良くないものなどを買わされることを避けるため、というのと、景品による競争がエスカレートして、事業者が商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなり、結果的に消費者の不利益につながることを避けるため、という両方の側面があるんだよ。

確かに、豪華な景品でお客様を引き付けようという考えは、よくないですね。

ちなみに、開店のお披露目や創業記念のような行事の際にお客様全員に提供する総付景品は、上限額の規制の対象外なんだ。もっとも、何でもOKなわけではなく、正常な商慣習に照らして適当と認められるものでなければならないんだけどね。

そうなんですね。そういえば、商品開発部でリリース前の試作品を店舗で配ってお客様の反応をみてみよう、っていう話が出ているんですけど、それもやっぱり上限額が決まっているんですか?

見本品や宣伝用の物品などの場合も、上限額の規制の対象外になっているんだ。ただし、やっぱり正常な商慣習に照らして適当と認められるものである必要があるから、不相当に高額なものなどを配布することは避けた方がいいだろうね。

勉強になりました。高額なものだから喜んでもらえる、と考えず、店舗にいらして下さるお客様層を考慮して、お役立ていただけそうなものを心をこめて選ぶことにします!


総付景品の上限額の規制とは
◆来店者全員にプレゼントする景品は、「総付景品」として、景品表示法で「200円まで」か「その店舗における通常の取引の最低価額×20%まで」のうち、いずれか高いほうとする上限額の規制が設けられている
◆開店のお披露目や創業記念などの行事に際してお客様全員に提供するものや、見本品や宣伝用の物品などで、正常な商慣習に照らして適当と認められるものは、総付景品の上限額の規制の対象外である
◆総付景品の上限額の規制の対象外であっても、不相当に高額なものなどは、正常な商慣習に照らして適当と認められないおそれがあるため、配布は控えるべきである

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