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2022/05/17号

~つい流されて…ではすまされない!? 官製談合への関与~の巻

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公共工事等の入札に参加する際、発注元である地方公共団体等の担当者などから、談合の可能性を含む指示を受けたりしたら、私たちはどうすればよいでしょう?

入札談合のニュースって、よく報道されていますよね。今日も官製談合の事件が新聞に載ってました。

官製談合ねえ。そんなに大騒ぎすることなのかな。必要悪なのかもしれないな、と思ったりもするな。

お~い、そんな認識でいると、それこそ新聞沙汰を起こしてしまうよ~!

ロクローさん!

そもそも、入札談合って、どういうものか理解しているかな?

国や地方公共団体等の公共工事や物品の公共調達に関する入札の際、入札に参加する企業同士が事前に相談して、受注する企業や金額などを決めてしまうことで、独占禁止法で禁止されているんですよね。

ご名答! 「今回はA社を落札者にしよう。予定価格はおそらく500万円程度だから、A社は490万円、他の会社はそれより高い価格で入札ね。」なんて、企業同士が示し合わせていたら、本来、競争によってもっと安くなるはずだったものに余計な税金が投じられることになってしまうよね。

税金が無駄に使われるのはあってはならないことですね。考えてみれば、そんなことが許されたら入札という方法を採用している意味がないですね。僕、ちょっと軽く考えすぎていました。

わかってくれたかい。こういった入札談合に、発注元である国・地方公共団体等の職員、要は公務員が関与している場合を「官製談合」というんだ。

具体的に、どんなことをすると官製談合にあたるんですか?

入札談合等関与行為防止法では、公務員に対して4つの行為を禁止していて、違反した場合、懲戒処分はもちろん、刑事罰が科されることもあるんだ。禁止行為の1つ目は、事業者ごとの年間の受注目標額を提示して、その目標額を達成するように調整を指示する、などの明示的な談合の指示、2つ目は、「今回はおたくの会社に受注してもらいたい」など、受注者に関する意向を表明することだよ。

発注者側からそういうことを言われちゃうと、今後の関係を考えて、指示に従ってしまいそうですね。

その気持ちはわかるけど、加担した企業側にも、罰金や課徴金の支払いが命じられる、指名停止となる、社名が公表される、など、たっぷりと制裁が下されるし、個人に対しても、刑事罰が科される可能性があるよ。「会社の方針で、そういうことはできません。」などと、はっきりと断らないとね。

「関わるつもりはない」という明確な意思表示が大切なんですね。世間話をしているつもりが、気付いたら談合を持ちかけられていた、ということも起こり得るでしょうから、発注元の公務員や他の入札参加者と必要以上の交流を持つことがないように気を付けないといけませんね。

確かにそうだね。それで、3つ目・4つ目はどんな行為なんですか?

3つ目は、予定価格など発注に関する秘密情報を漏えいすること。入札者側から、発注元の公務員に「予定価格の目安は?」などと聞くような行為はしてはいけないね。4つ目は、指名入札の際に特定の業者のみ指名するなど、業者同士で談合がしやすいように助けることだよ。

予定価格のこととか、ちらっと聞いてみたくなっちゃいますけど、先方の公務員に刑事罰が下ってしまう可能性を考えると、うかつな発言は許されませんね。でも、自分自身は関与したくなくても、談合の話を見聞きしたり、誘われたりした場合には、どうすればいいんですか?

まずは、上司などに相談することが重要。公正取引委員会に公益通報者保護窓口も設けられているよ。窓口に通報しても通報者は守られるから、安心してね。

わかりました!


官製談合の要点と留意点
◆入札談合に公務員が関与している場合を「官製談合」といい、入札談合等関与行為防止法では、公務員に対し、以下の4つの行為の禁止や違反した場合の処罰を規定している
①談合の明示的な指示(受注目標額の調整など)、②意向表明(受注希望先の表明など)、③発注に関する秘密情報の漏えい(予定価格を伝えるなど)、④特定の談合の幇助
◆官製談合に加担した企業側にも、ペナルティが科される
◆知らないうちに官製談合に加担していた、ということがないように、発注元の担当公務員や他の入札参加者とは必要以上の交流をしない

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