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2022/06/14号

~時代に合わせて変化する個人情報保護法~の巻

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デジタル技術の飛躍的な進展や、経済活動のグローバル化など、私たちを取り巻く環境は刻々と変化しています。個人情報保護法も、時代の流れに合わせ、変化しているようで…。

うーん…。よくわからないなぁ。

どうかしたんですか?

「2022年4月施行で個人情報保護法が改正されているから、勉強しておいてね」って、上司に言われたんですが、難しくてよくわからなくて。当部は個人情報を多く取り扱うから、理解しておいたほうがいいんですけど…。

個人情報保護法って、頻繁に改正されるイメージですよね。また、規制が強化されたんでしょうね。

一概にそうとも言えないのよ!

ヨーコさん!

個人情報保護法は、3年ごとに見直すこととなっていることもあって、よく改正されるってイメージがあるかもしれないわね。

どうして、3年ごとに見直すことになっているんですか?

個人情報の取扱いについての関心の高まりや国際的な動向、技術の進歩など、実態に合わせてアップデートしていく必要があるからよ。今回の改正では、個人の権利保護という観点では規制が強化された部分もあるけれど、データの利活用が促進できるように「仮名加工情報」が新設され、一部規制緩和も盛り込まれているわ。

仮名加工情報って、何ですか?

企業が個人情報を収集・管理するにあたって、厳重な規制があることはもちろん知っているわよね?

はい。個人情報取得の際に利用目的を明示するとか、利用目的の範囲を越えて利用する場合や第三者提供の場合は原則として事前に本人の同意が必要、とか…個人の権利保護のために、しっかり規制されていますよね。

そうね。一方で、データの利活用も経済社会の発展のためには必要だから、今までも「匿名加工情報」といって、およそ個人を識別できないレベルまで加工したデータは本人の同意を得なくても第三者提供が可能、など、ある程度自由に利活用することができていたの。でも、個人識別が不可能なレベルまで高度に加工されたデータだから、企業は消費者を詳しく分析するのが難しい部分があったのよ。

う~ん、何だかジレンマを感じますね。

そこで、今回、仮名加工情報が新設されたの。仮名加工情報は、他のデータと照合しない限り個人を識別することができないよう加工されたデータのことで、匿名加工情報より加工度が低く、個人情報に近いデータと言えるのよ。匿名加工情報とはちがって第三者提供は原則禁止なので、主に企業内部におけるデータ利活用を考えて導入されたものと言えるわね。

仮名加工情報を使えば、より精緻なデータ解析ができる、ってことなのですね。

そうね。ただし、仮名加工情報は、他のデータと照合すれば個人が識別できるわけだから、データが照合できないように安全管理義務があるなど、規制もあるのよ。

個人の権利はしっかりと守られるようにしつつ、企業がデータの利活用をしやすいようにされているのですね。

その通りよ! ミーナもマユユも、データを適切に活用して、お客様に喜ばれる商品やサービスを提供できるといいわね。期待しているわ!

ううっ、が、がんばります~!


個人情報保護法の改正と仮名加工情報
◆個人情報保護法は、個人情報の取扱いについての関心の高まりや国際的な動向、技術の進歩など、実態に合わせてアップデートされていて、2022年4月施行の改正では、データの利活用促進のため仮名加工情報が新設された
◆仮名加工情報は、他のデータと照合しない限り個人を識別することができないよう加工されたデータのことで、匿名加工情報よりも加工度が低く、データとしての有用性が高く、データの利活用促進が期待される
◆仮名加工情報は、他のデータと照合すれば個人を識別することができるため、データが照合できないように安全管理義務があったり、第三者提供は原則禁止であるなど、規制されている部分もある

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