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2022/07/12号

~久しぶりの接待はパーッと豪華に!?~の巻

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世の中が少しずつ落ち着きを取り戻す中、「久しぶりに取引先の方とお食事会でも…」、なんていう話が出てくることもあるかもしれません。久々だし、ちょっと豪華にいきたいところですが…?

感染症も大分おちついてきて、これからは少しずつ、飲み会復活、という動きになってきそうですね。

ほんと、飲み会が完全に消滅しちゃって、寂しかったんだよ~! 取引先との接待とかもすっかりなくなっていたから、もう少しして状況が許すなら、パーっと豪華にやりたいところだよ。

接待を豪華にかい!? それは聞き捨てならないなあ。

ロクローさん!

どうしてですか? 豪華な接待がダメだなんて、そういう法律でもあるんですか?

贈収賄などで厳しく規制される公務員に対する接待とは違って、民間同士の接待は、特に法律で禁止されていないし、商売上、ある程度のお付き合いというのは必要ともいえるんだけどねぇ。

ですよね! 取引先の人と飲んでカラオケ行って、そこで深めた親交があったからこそ、感染症の拡大で対面での面談がかなわなくなっても、変わらず取引をしていただけたんだと思っています!

言わんとしていることはわからないでもないけれど、不必要に高額な接待をして、相手に対して見返りを求めるようなことがあってはならないし、あるいは接待を受けたからといって、その後の取引に手心を加えるようなことがあってはならないよ。そこはよく肝に銘じないとだね。

確かに、取引先に、自分では食べられないような豪華なお食事に連れて行ってもらったら、私も相手に何かお返しをしないとって気持ちになって、不良品が納品されても少しくらいだったら目をつぶっちゃったりしかねないです…。

そういう考えは、本当に危険なんだ。相手側の商品が競合他社に比べて明らかに劣っているにもかかわらず、接待を受けた見返りにその商品を採用し、それによって会社が損害を被るようなことがあれば、背任罪に問われかねないんだよ。

ひ~っ。やっぱり、取引先の方とのお付き合いにあたっては公私の線引きをすることは重要ですね。

その通りだよ。ところで、税法上、接待飲食費を含む「交際費」は、損金算入(経費化)に制限を設けているんだけど知っているかな?

あ~、何となく聞いたことがあるような気がします…。

資本金100億円超の法人が支出した交際費は、全額が損金不算入、つまり経費にはできないんだよ。資本金100億円以下の法人は、交際費のうち接待飲食費の額の50%相当額を超える部分の金額が損金不算入とされるんだ。資本金が1億円以下の法人については、別の特例が設けられているよ。

えっ! そうなんですね。てっきり、使った分だけ経費化できると思っていました。

交際費の使い過ぎで会社の利益が圧縮されたりすることがあれば、企業経営の健全性が阻害されることになりかねないよね。税法上の交際費課税は、不必要に豪華な接待に代表される「濫費」、つまり無駄遣いを抑制して、経済の正常な発展に資することを目的とするために導入されたんだよ。

税制の創設された背景から考えても、接待に対しては慎重に考えないといけないことがわかりますね。

そうだね。豪華な接待費が、会社にとって必要な交際費といえるのか、よく考えないといけないね。

了解です! 取引先とは、ほどよい金額の飲み会をセッティングしますね!

(本当にわかってくれたのかなあ…(汗)。)


接待をするとき・受けるときの留意点
◆民間同士の接待は、特に法律で禁止されているものではないが、不必要に高額な接待をして、相手に対して見返りを求めたり、接待を受けたことによりその後の取引に手心を加えたりするようなことがあってはならない
◆相手側の商品が競合他社に比べて明らかに劣っているにもかかわらず、接待を受けた見返りにその商品を採用したために会社が損害を被るようなことがあれば、背任罪に問われかねない
◆税法上の交際費課税は、交際費の使い過ぎで会社の利益が圧縮されるようなことがあれば、企業経営の健全性が阻害されることになりかねないことから、法人の支出する無駄遣いともいえる過剰な交際費を抑制し、経済の正常な発展に資することを目的とするために導入された
◆こういった税制の背景から考えても、接待に対しては、慎重な判断が必要になる

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