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2022/09/13号

~供給量が限られていることを記載していない広告、お客様にバレなきゃOK?~の巻

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プロモーション用の広告を制作した後になって、商品の製造が追いつかないことが判明…こんなとき、広告内容を変更する必要はあるのでしょうか?

今度の新作、全店舗でキャンペーンを催して大々的に販売会を行うの、楽しみですね!

ええ、本当に楽しみにしてるんですが…肝心の商品が資材不足で、予定数量の生産が間に合わなそうなんです。もう、告知ポスターなんかも完成しているのに…どうしようかと思って。

まあ、売るものがまったくないわけじゃないんだから、問題ないですよ!

いやいやいや、その考えは大いに問題があるよ~!

ロクローさん!

もともと、新作は何個入る予定だったんだい?

1万個製造する予定だったんですけど、実際には、700個程度しか用意できなそうなんです…。

でも、お客さんは、実際の在庫がいくつかなんてわからないわけですし、問題ないと思いますけど。

いやいや、大問題だよ。実際の商品の供給量が著しく限定されているのに、それを明示していない場合、景品表示法で禁止されている「おとり広告」に該当する可能性があるんだ。おとり広告は、消費者庁から措置命令や課徴金の支払い命令の対象になるんだよ。

おとり? ポスターを刷ったときと事情が変わってしまっただけで、そんなつもりはないです!  それに、せっかく刷ったポスターが無駄になってしまうのも困りますし…。

気持ちはわかるけど、供給量が限定されるのであれば、その旨を広告に明確に記載しないといけないよ。ちなみに、「おとり広告」とされるものには、こういった、「供給量が限定されているのにそれを明示していない表示」、というパターンの他にもいくつかあるんだ。

広告って、企業側が自由に書いていいと思っていました。何でそんなに規制されてるんですか? 

おとり広告は、表示した商品などに関心を持った消費者を店舗などに誘引したうえで、広告には表示されていない他の商品などを購入させる手段として利用されることがあるから、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあるとして規制されているんだ。

たとえば、どういった表示が禁止されているんですか?

まずは、「取引を行うための準備がなされていないなど、取引に応じることができない場合のその商品等についての表示」が挙げられるよ。広告を見て店舗に足を運んだのに、広告商品が店頭に陳列されていない場合なんかが該当するね。

私それ、体験したことあります! すっごく頭に来ました!

そうなるよねぇ。そして次に、「商品等の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示」も禁止されているよ。

広告を見て、お安い! と思って、たくさん買っておこう~、と店舗に買いに行ったら、「おひとり様一つまでです」って言われてがっかり、っていうアレですね。

そうそう! そして最後に、「実際には取引する意思がない商品等についての表示」、これは、広告商品等に関する難点をことさら指摘して、取引の成立を妨げる場合なんかが該当するね。

お客様からみれば、広告に書いてあったのに、実際には目当ての商品が買えなかったりするのって、すごくがっかりするし、そんな企業を信用できなくなりますね…。私、お客様をダマすところでした。

私も、せっかく作ったポスターが無駄になってしまう、って焦って、判断を見誤るところでした。予約受付キャンペーンなど、代替手段を考えて、なんとかして盛り上げられるようにします。

何より大事なのは、ごまかさずにお客さんに対し誠実であることだって、わかってくれてよかったよ。


おとり広告とは
◆おとり広告は、公正な競争を阻害するおそれがあるため、景品表示法で規制されている
◆以下のような表示は「おとり広告」とされる
・取引を行うための準備がなされていないなど、取引に応じることができない場合のその商品等についての表示
・商品等の供給量が著しく限定されているのに、その旨を明示していない表示
・商品等の供給期間、供給の相手方、顧客一人当たりの供給量が限定されているのに、その旨を明示していない表示
・実際には取引する意思がない商品等についての表示

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