第一法規株式会社|教育研修一覧

第5回 コンプライアンス教育の効果を高める

まとめ by オオタケさん

会社や組織においては、立場により役割が決まっています。各自がそれぞれの役割を果たすことで、組織が機能し、組織目標が達成されます。

会社や組織における役割

・役員には、取締役会の一員としての法的責任と義務があります。役員にふさわしいコンプライアンスにかなった行動や意思決定が求められます。会社によっては、最上級管理者という立場を兼ねる場合もあります。そうした場合には、事業の長期的な成長目標や戦略、重要リスクの管理、危機管理などに関する意思決定も求められます。

・管理職には、事業や業務の運営責任とそれに関わるリスク対応が求められます。上級管理職(部長など)の場合は、事業戦略リスクやその資源配分リスク、危機管理などに適切に対応することが求められます。初級管理職(課長など)の場合は、実務の責任者として、部下の管理(業務進捗管理、労務管理)や、人材育成のほか、クレームやトラブルなど業務遂行上発生するさまざまな問題を処理することなどが求められます。

・一般社員には、担当業務を遂行するうえでのリスクへの対応や、実務に関する知識、組織の一員としての協調性(雰囲気づくり)などが求められます。

こうした基本的な役割を押えておくことで、同じ事例を使った教育であっても、立場によって考えるべき幅や奥行が変わってきます。「理解度テスト」を実施したり、改善テーマに対するレポートを求めたり、議論させて議事の概要の報告を求めたりすることで、それぞれの役割意識を高め、行動に結びつくように啓発することが、教育効果を高めることにつながると実感しています。

コンプライアンスは、決してスタンドアローンの独立した活動ではありません。組織としての成果をあげるために、それぞれの社員の成長を促すためにコンプライアンス教育があり、事業活動と密接に関係しているということを、お伝えしたいと思います。