第一法規株式会社|教育研修一覧

第6回 部下との信頼関係

まとめ by オオタケさん

コンプライアンス教育では、一律的な集合学習やeラーニングなど、個人の知識向上を図る教育が多いように感じます。しかし、それだけでコンプライアンス問題の発生を防止したり、不正などを抑止するには限界があります。

個人の知識を増やし、意識を高め、自らの役割に基づく行動に結びつけることは、大変重要です。しかし、すべての社員が必要な知識を十分に持っている状態にすることは困難です。また、たとえ知識を習得したとしても、ミスや思い込み、勘違いなどから発生する問題を完全に防ぐことはできません。しかも、知識習得の教育を行っても、学習に消極的な者が6割、実質的な学習拒否者は3割いる(※1)とも言われています。

こうしたことから、「個人の行動」に対する教育だけでなく、「組織の行動」に対する教育も必要と考えます。そして、組織のマネジメントも重要となります。

実は、コンプライアンス問題の原因を探ると、コミュニケーションやチームワーク、マネジメントなど、組織運営に問題があることが多いのです。組織のなかで、お互いが分かり合おうとし、支え合おうとする気持ちがあれば、そうした問題も起きにくくなるはずです。お互いを気遣い合い、知識や情報を交換したり、気軽に話し合ったり相談し合える「信頼関係のある」職場をつくる必要があると考えます。

そうした職場をつくるためのキーマンは、一般社員の一番近くにいて、それぞれの社員の性格や能力、個人的な事情などをよく知っている直属の上司(課長など)をおいて他にはいません。社員同士や上司と部下の間に信頼関係があれば、多くの問題は防げると思いますし、高い目標も知恵を出し合って達成できるのではないかと思います。

※1:米国のクリエイティブ・リーダーシップ・センター元研究員マイク・ロンバルト氏による。酒井穣著 『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』光文社新書(2010年)参照。