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第63回 サイボウズ株式会社(2)

前回に引き続き、サイボウズ株式会社におじゃましています。今回は、DS制度を選んだ場合の評価についてのインタビューからスタートします。

(インタビュアー:大麦)

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評価はどうなるのですか?

山田氏  DS制度を選んだ社員の評価は、「S」「A」「B」の三段階で、「S」は年間9万1,200円、「A」は、年間4万5,600円昇給します。「B」の場合は据え置きとなります。また、「S」は定時出勤・退社の場合のみ適用されます。DS制度選択中は、階層が上下することはありません。

賞与はどうなりますか?

山田氏  賞与は、PS制度かDS制度かにかかわらず、全社の売上に連動した全社員同一の算定式になります。算定式は、基本給×係数です。係数は、全社の売上目標の達成度合により決定します。ちなみに、退職金や手当て等は、どちらの制度の場合もありません。

制度の選択にあたって、制限はあるのですか?

山田氏  「多様な価値観」に対応することを目的としているため、DS制度は、きわめて柔軟な仕組みにしています。
たとえば、DS制度を選択する際、理由は基本的に問いません。あくまで自分の価値観にしたがって選択します。短時間勤務の場合、実際には育児が理由の社員が多いですが、「夜間大学院への通学」や「健康維持」が理由の社員もいます。また、どちらの制度で働くかは、毎年変更することができます。

短時間勤務制度の利用状況はいかがですか?

山田氏  2009年度の利用者は7人(育児2人、自己啓発1人、健康2人、家族2人)です。具体的には、週4日勤務の定時出勤・退社、週4日勤務の10時~17時、週5日勤務の9時~16時、週3日勤務の10時~18時等の実績があります。また、先程申し上げたように、部長級の管理職も利用しています。

制度の選択によって、業務内容について変更がある可能性はありますか?

山田氏  担当業務と選択した働き方のバランスを考慮し、業務内容が変わる可能性はありますが、これまでに大幅な業務内容の変更をしたケースはまだ発生していません。

山田氏

役職等はいかがですか?

山田氏  DS制度選択を理由とした役職変更はありませんが、部署や役割が変わる可能性はあります。DS制度を選択した社員が部門長としての役割を担っているケースもあります。

どのような効果がありましたか?

山田氏  女性社員を中心に、DS制度を利用しながら働き続ける意識が高まっています。また、制度導入後、離職率は大きく減少しました。さらに、現在DS制度を選択していない社員にも、長期的に働ける安心感をもってもらえています。

そのほかにも何か効果はありましたか?

山田氏  部長級の管理職が短時間勤務をしている例もありますが、これにより周囲の労働時間が増している事実はありません。逆に、仕事の委譲が進み、部下が成長するなどの副産物がありました。自社商品であるグループウェアを活用し、社外でも仕事が共有化できることも大きいですね。
DS制度利用者が増えれば、労務管理コストも増大しますが、それを上回るメリットを実感しています。これからも、社員の多様な価値観に対応しながら、働きやすい環境の整備を進めていきたいと考えています。

「多様な価値観」に対応することを目的に、会社として柔軟な制度を整え、社員の方もそれに応えて高い成果を上げて、活き活きと働いていらっしゃる様子が伝わってきました。今日はありがとうございました。

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*この記事は2010年10月に取材したものです

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