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執行役員・コンプライアンス部長兼CSRコンプライアンス課長の石田薫氏

第54回 ファミリーコーポレーション株式会社(2)

第54回も、引き続きファミリーコーポレーショ株式会社におじゃましています。お話をうかがったのは、執行役員・コンプライアンス部長兼CSRコンプライアンス課長の石田薫氏。ファミリーコーポレーション株式会社は、設立されてから12年。10人ほどのスタッフでスタートした会社も、今では200名の社員の方がいらっしゃいます。トップから従業員一人ひとりまで風通しのよいコミュニケーションの形成に心を配られています。

(インタビュアー:たなやん)

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コンプライアンス部の体制について教えてください。

石田氏  以前は、社長直轄の組織でコンプライアンス室でしたが、2007年に管理本部に配置換えしたときに、コンプライアンス部に替わりました。従業員数は約200名で、コンプライアンス部には6名配属されています。この規模の会社では人員は割り当てていただいているのかなと思います。その6名でコンプライアンスばかりではなく、与信審査、法務、CSRなども受け持っています。内部監査も厳しくなっていますので、契約書全般についての仕事にもパワーが必要です。

現在、コンプライアンスについてお困りのことはありますか。

石田氏  1998年にスタートしたときには10人ほどでしたが、現在の社員は200名ほどいます。会社が大きくなってきますと、さまざまな考え方の人がいますので、上下・縦横のコミュニケーションの問題、ハラスメントがらみの問題など、社内のコミュニケーションについて、気を配っています。

若手の社員と経営陣が直接対話することを目的とした研修会があるそうですね。

石田氏  会社の成長を支える経営資源は「人材」です。社員一人ひとりの現場力の向上を通じて、会社の社風や伝統を一緒になって構築しています。その中の一環として、社員と経営陣が直接対話することを目的とした研修会である「若竹会」・「すみれ会」というものがあります。

「若竹会」について教えてください。

石田氏  「若竹会」では、非管理職、若手の総合職を中心にした社員を年に2回、全国から東京に集めて、毎回、テーマを決めて研修をしています。たとえば、ビジネスマナー、営業力強化などの研修をして、その後、懇親会を開いています。
当社は、全国に支店・営業所を合わせて13ヶ所あります。全国にある支店・営業所に勤務していると、本社に来たことがあるのは入社式のときだけという場合もないわけではありませんので、トップのメッセージを伝えることで、新しい空気を吸わせようという趣旨です。

若竹会後の懇親会
若竹会後の懇親会

「すみれ会」について説明していただけますか。

石田氏  「すみれ会」というのは、事務職の女性を対象にした研修会です。情報を共有するために、現在は3ヶ月に1度開催しています。各支店・営業所から東京に集まってもらい、トップメッセージを伝えて、勉強会、懇親会を開いています。
最近では、女性の総合職がかなり多くなってきています。女性の総合職の方々は、以前は両方に出ていたのですが、今では、若竹会に参加しています。

すみれ会
すみれ会

社内の風通しをよくする工夫をされているのですね。これだけではなく「主管者会議」でも工夫をされていると聞きましたが。

石田氏  支店長、所長などを集めて、毎月「主管者会議」を開催しています。そのときに、管理職だけではなく中堅の一般社員を順番に出席させています。
会社として、どのようなプロセスで大きな方針が決まるのかを、中堅、若手社員にも開示することで、経営の方向性をわかりやすく理解させることができる、という意味から社長が推進しているものです。

年に1回、「全社員集会」を行っているそうですね。

石田氏  経営方針・会社の方向性や取組み事例などを共有し、意見を交わす「全社員集会」を行っています。上司や部下の垣根を超えて節度を保ちながら活発に議論して、会社全体で業務の改善を目指しています。
全員が集まって、トップのメッセージに始まって、会社の声を聞く、顔を見る機会です。各セクションにテーマを決めて発表をしてもらっています。この2年間は、コンプライアンス部として、私が講師をつとめてコンプライアンス研修を行っています。
コンプライアンス部長兼CSRコンプライアンス課長の石田薫氏

社員アンケートを実施していると聞きましたが。

石田氏  年に2回、コンプライアンスについての社員アンケートを行っています。前回は、ハラスメントとサービス残業にテーマを絞ったアンケートを実施しました。その結果、ハラスメントについて、セクション単位で明確な結果が出ました。ハラスメントについて問題が出たセクションの管理者側に限って「自分は絶対してない」「自分は絶対大丈夫だ」というのです。アンケートによって、自分はハラスメントの被害者だという意識をもっている社員がいるということが分かりました。
また、セクハラ・パワハラばかりではなく、最近では、タバコの害・スモークハラスメントやメンタルヘルスについての指摘もありました。

そのような課題を抱えた社員の方々の相談を汲み上げる仕組みはありますか。

石田氏  内部通報制度は設けています。私も相談者の一人になっています。ルール上は支店長などの主管者が第一次の相談者になっています。しかし、その支店長がハラスメントの当事者ということもあり得ますから、私の仕事としては、特に若い社員層から声をかけられやすくしないといけないと思っています。

実際に、内部通報制度を利用した通報はありますか。

石田氏  あえて内部通報制度を利用して、これを通報しますということは、なかなか難しいことのようです。現実には、同じ部署の比較的若い社員にメールなどで相談が行き、そこから私のところに連絡が入ってきています。

そのような相談を汲み取る工夫をされていますか。

石田氏  支店、営業所などを回って、コンプライアンスについて話をする機会があります。そのときに「なにか困ったことがあれば、教えてください」と言うわけです。先ほどお話した全社員集会でコンプライアンス研修をしたときなどに「何でも相談してくださいね」「気軽に声をかけてくださいね」と言った後などには、特にいろいろな相談が入ります。このような機会に声をかけもらって具体的に問題の解決に動き出すこともあります。

内部通報については、制度は作ったけれど、通報数ゼロというところもあるなかで、すばらしい運用方法だと思います。今日は、どうもありがとうございました。

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*この記事は2009年11月に取材したものです

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