第一法規株式会社|教育研修一覧

todanabar
コンプライアンス統括室、小門口部長

第11回 株式会社IHI(2)

前回に引き続き、株式会社IHIにおじゃましています。
今回は、コンプライアンスを浸透させるための取組みについてのインタビューからスタートします。

(インタビュアー:えり)

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コンプライアンスを徹底するための取組みや工夫を教えてください。

小門口氏 コンプライアンス教育に最も重点を置いています。まず、関係会社を含めた全社員と派遣社員を対象にして、社会人としての基本的な内容を取り上げた教育を半期ごとに行っています。これは、「eラーニング」を使用していますが、より具体的に理解してもらうために、教材は自分たちで作成しています。
また、新入社員、中堅社員、課長など、階層別の教育にも力を入れています。弊社の役員や関係会社の社長など経営層を対象とする研修では、社外の専門家をお招きして実施しています。さらに、各事業本部の推進役になる社員を集めたケーススタディによる研修も行っています。判断に迷うような場面を設定して、いろいろな角度から検討してもらっています。1つの事例について、設計や営業など複数の部門から集めた小人数のグループで討議するので、出席者にとってはとても刺激になっているようです。
≪IHIグループが導入している「eラーニング」の教材≫
(株式会社東京リーガルマインドが開発したコンテンツをIHIグループ向けにカスタマイズしたもの)

外部講師の講話では、どのようなテーマを取りあげていますか。

小門口氏 経営層向けの内容ですと、「経営の中にコンプライアンスをどのように取り入れていくのか」を考えていただくような内容を取り上げています。またマネージャー向けの研修では、「職場のマネジメントの一環としてコンプライアンスをどのように実践していくべきか」、といったより実践的な内容で行っています。

社員の方々への、コンプライアンスに対する意識の浸透度合いはどのような方法で確認されていますか。

小門口氏 昨年、意識調査としてアンケートを実施しました。これからも定期的に実施していこうと考えています。このようなアンケートは、より客観的に評価したいので、外部の会社に分析・評価を委託しています。

社員の方々の声を拾うことのできる「ホットライン」について教えてください。

小門口氏 当社では、「IHIグループ コンプライアンスホットライン」と言っています。これは、IHIグループで働く人は誰でも使えるように、電話番号などの使い方を書いたカードを全員に配布しています。平成15年に設置したときは社内で受け付けていましたが、利用者が安心して相談できるように、現在は受付窓口を社外に委託しています。また、ホットライン設置の趣旨を周知するために、研修の場を通じて、「こういう時はホットラインを使って連絡して欲しい」というような説明を行っています。さらに通報された内容については、具体的な部門名などはわからないようにしつつ、社内向けのホームページに開示して、情報を共有しています。少しずつですが、ホットラインの活用度は上がってきています。

小門口氏

今後のコンプライアンスの取組みや大切にしていることを教えてください。

小門口氏 平成17年10月にコンプライアンス統括室に改組してから、一つひとつ課題を解決しながら、足元を固めている段階です。事業本部や本社をはじめ、グループ全体にコンプライアンスを徹底していくためには、やはり地道に教育を行っていくことだと考えています。また、ホットラインの情報をホームページで開示するなど、悪い情報であってもオープンにしていくことが社内の風通しをよくすることにつながると思うので、積極的に情報発信していこうと考えています。

(編集後記)
インタビューと前後して、業績予想の修正および過年度決算の訂正に関する情報開示など、IHI様における相次ぐ発表に伴い、インタビュー記事掲載については時期を見送りたいとのご意向がありましたが、コンプライアンス態勢や情報開示に対する姿勢など、企業のコンプライアンスご担当者への参考となる内容が多く含まれておりましたので、コンプライアンスへの取組みを中心に掲載させていただきました。

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