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第61回 株式会社イノス(2)

前回に引き続き、株式会社イノスにおじゃましています。今回は、制度の運用について、どのような工夫をされているのかのインタビューからスタートします。
インタビュー時期:2010年10月

(インタビュアー:大麦)

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制度の運用については、どのような工夫をされていますか?

芹川氏  制度の利用者に、「制度を利用して仕事と生活のバランスを取りながら“ほどほど”に働く」のではなく、「自分のビジネス・キャリアにおいて、制度を利用しながらどのようにキャリアを伸ばしていくか」という意識を持ってもらうようにしています。
また、経営者としては、「社員の多様な働き方に対応することによって、多様な人材を活用できるマネジメント力と業務分散・危機管理に対するノウハウを習得する貴重な機会を得ている」、「ワークライフバランス制度は経済・社会情勢に関わらず社員が持てる能力を十分に発揮するために不可欠である」と認識しているという姿勢を示し、管理職に制度の理解を呼びかけています。

管理職のマネジメントについてどのようにお考えですか?

芹川氏  管理職は制度利用者の同僚への意識づけにも注力し、「誰もが制度を利用する可能性がある」ことを理解させ、“お互い様”の雰囲気を職場に醸成していく役割を果たすと同時に、業務を円滑に遂行するために業務配分や仕事の連携のあり方についても留意する必要があります。
こうした取組みは、短期的には管理職の負荷が大きくなりますが、中長期的には、管理職にとってはいかなる状況にも対応できるマネジメント力が習得され、かつ職場にはそれに耐えうる体制が構築されると考えています。

管理職の方の役割が大きいですね。

芹川氏  そうですね。育児については、子どもの年齢によって制度利用者の仕事への関わり方が変化しますので、できるだけ早期にフルタイム勤務に復帰してもらえるよう、キャリアアップへの意識づけも行いつつ、仕事の内容と配分を変えていくことも重要だと思います。

顧客にも理解を求めているそうですが?

芹川氏  社内のみならず、制度利用者が担当している顧客にも、社員が制度を利用中であることを説明し、理解していただくように努めています。また、顧客に納得していただくためにも、社員には、日頃から高い技術力を習得するよう育成していく必要があると考えています。

制度の対象ではない社員にはどのような配慮をされたのですか?

芹川氏  制度導入の際には、他の社員が不公平感を抱かないよう、特段優遇されているわけではないということを、社長である私から、全社員に向けてアナウンスしました。さらにオリジナルの「多様な働き方のためのガイドブック」を作成し、イントラネット上に掲載しています。
評価に当たってはフルタイム勤務者と短時間勤務者の双方が納得できる要素が必要となりますが、従来の年功序列的な人事制度ではなく、成果を重視する人事制度の下で可能となりました。

取り組みの成果はいかがですか?

芹川氏  女性が働き続けることを支援することで、人材の定着に寄与しており、人材流出防止策となっています。離職者が減少したために、新規採用者数を減らすことができ、新人育成のためのコストをおさえることができました。
また、当社は地方にあるため、優秀な人材を集めるのが大変な面があるのですが、他地域からも優秀な女性が応募してきてくれるようになりました。

今後、どのような取り組みをしていきたいとお考えですか?

芹川氏  制度を円滑に運用していくためには、「適正な労働時間で働くための環境整備」、つまり「長時間労働を見直して社員全員のための時間管理を整備すること」と「業務の遂行方法の見直し」が必要です。今後は制度利用者のみならず、「全社員」が生産性高く働くことができる職場環境の構築に取り組みたいと考えています。

今後、取り組みを進めていく上で、重要なことは何ですか?

芹川氏  育児のための短時間・短日勤務制度の利用は、社員に子どもが複数人いることを考慮すると、制度の利用期間が長期化する傾向があります。その背景には、日常の勤務状況が長時間に及んでいることが考えられます。社員の持てる能力を十分に発揮してもらうためには、制度の適用期間を延長するのではなく、通常勤務でも仕事と生活を両立できる労働環境を創造することが重要だと考えています。

トップ自らが積極的にワークライフバランスを推進し、その思いを現場の社員が受け止めて、より高い成果を発揮しつつ、活き活きと働き続けるために、日々努力されている様子が伝わってきました。今日はありがとうございました。

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*この記事は2010年10月に取材したものです

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