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専務取締役機能部門管掌 チーフコンプライアンスオフィサー渡辺厚志氏

第6回 ITCネットワーク株式会社 (2)

前回に引き続き、ITCネットワーク株式会社におじゃましています。
今回は、CSR体制や、その具体的な取り組みについて、インタビューしてまいりました。

(インタビュアー:たなやん)

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御社のCSR体制について教えて下さい。

渡辺氏  当社は「人間尊重の経営を標榜し、個の価値、会社の価値を高めて社会に貢献する」という企業理念を掲げております。企業理念にありますとおり、価値創造の連鎖・ステークホルダーとの共存関係の構築により、CSRを果たしていくことを使命と考えております。具体的な活動は、CSRコミッティの傘下の5つの委員会が中心となって行っています。その委員会とは、
1.コンプライアンス委員会
2.情報セキュリティ委員会
3.内部統制委員会
4.環境委員会
5.安全衛生委員会
です。

情報と環境は今後も重視されていくと思いますが、情報セキュリティに対する取り組みをお聞かせいただけますか。

渡辺氏  冒頭にお話ししたとおり、当社は携帯通信事業者の一次代理店として、年間180万回線のお客様の個人情報を取扱っているため、情報セキュリティは事業の根幹に関る問題と位置づけております。そこで、2004年6月に、業界初のISMS認証を取得し、全ての情報資産を適正に管理するためのPDCAサイクルを組織に導入しました。現在ではISO27001に移行しています。先程お話をしました「情報セキュリティ委員会」は、情報セキュリティ向上のための改善計画やモニタを行っています。

では、次に環境に対する取り組みについて、お聞かせ頂けますか?

渡辺氏  先程、企業理念・企業行動基準を記したカードを全従業員に配布し、携帯するよう指導していることをお話ししましたが、環境についても社員に意識してもらうため、環境方針も同様にカードにして配布し、携帯させております。当社は、ISO14001を3年前に取得し、環境保全につながる職場環境の改善を進めています。例えば、紙の再利用や電力使用量の削減、「整理・整頓・清掃・清潔」の4S運動の取り組み等があります。

CSR活動の重要な要素として「従業員満足=働き易い職場づくり」があげられると思いますが、貴社ではどのような取り組みをなされておりますか。

渡辺氏  当社では、『ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし』という社長の強い考えがありますので、従業員満足を向上させる取り組みをしております。例えば、従業員に働きやすい環境を提供するために、昨年度も人事制度を改訂し、地方勤務型/全国勤務型を選択できるようにしています。転勤を避けたい人もいるため、そういった人たちに合わせるためにこの制度を設けました。

積極的に取り組んでおられますね。

渡辺氏  そうですね。また、現在、外部機関を利用し、全社員に従業員満足度調査を実施しています。これは、会社の組織風土を把握し、また従業員の仕事・上司・会社に対する満足度や負担度を統計的にあぶり出すことを目的としております。当然、従業員の特性や事業環境も変わってくるので、この調査を継続して定点観測を行っていくことが大切だと考えております。
また、当社では社員研修のことを「エンプロイアビリティ研修」と呼んでいるのですが、その名称のとおり、当社では、研修とは従業員に履修を要求するものというよりも、従業員が労働力市場における自らの価値を高めるために自主的に習得するものと位置づけて、自発的な参加機会を広く設けています。外部の専門講師を招いた高度なものもありますし、地方の社員が受講を希望する場合、会社で交通・宿泊費を負担しています。研修の内容もさまざまであり、PCや経理の基礎的知識や業界動向を知るレベルのものから、「問題解決」「企業価値評価」などの高度スキルを学ぶ講義なども実施しました。

産休復帰者が職場に復帰しやすいようにする取り組みがあるとお聞きしましたが?

渡辺氏  当社の業態では女性がショップ運営の主役ですが、出産・育児といった母性に優しい会社でなくては、当社を働く場所として選んでもらえません。このため、育児支援としては、「NO残業」「時差出勤」「時短勤務」のいずれかの勤務形態を希望することができ、その期間も育児介護休業法よりも手厚く、子が小学校に入学するまでとしております。
この制度は今まで13名が利用しており、そのうち2名は第2子目のためです。この利用状況からも、制度を利用しやすい環境作りに成功していると実感しています。

御社では、今年の6月に特例子会社を設立したそうですが、そのことについてお聞かせ下さい。

渡辺氏  障がい者の方の雇用確保は重要な社会的役割と考えております。しかし、今まで障がい者の方の定着が非常に難しかったため、勤務地を一箇所にし、就業規則も障がい者の方にあわせたものとして定着率向上を目指しました。それが今年の6月に設立した「株式会社ITCNアシスト」です。10月19日には特例子会社としての認定を受けることができました。これは、業界初のことです。ハローワーク等の外部機関からも高い評価を頂いております。

具体的にはどのような事業ですか?

渡辺氏  現在のところ、当社の物流センターで業務を行っています。量販店などで携帯電話を購入されると、端末、付属品、説明書等が1つの箱に入っていると思いますが、この箱詰め作業を行っていただいています。お客様やお取引先に対する当社の重要な機能の一部です。

今後の課題を教えて下さい。

渡辺氏  時代を先取りした形でコンプライアンスに取り組めていると思っています。今後はそれをより深く推進していきたいですね。10年前に40名程度でスタートした当社ですが、今では正社員が1,100名を超え、派遣を含めると2,600名強の大所帯となっていますから、根底にある考え方を地道に色んな機会で繰り返し説明して、手順や基本動作が社員に自然と染み付いているようにし、組織力の高い企業を目指すことが重要と考えております。

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