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コンプライアンス室長の森和久氏

第59回 伊藤忠フレッシュ株式会社(2)

第59回も伊藤忠フレッシュ株式会社におじゃましました。今回はコンプライアンス教育への取り組みについて、コンプライアンス室長の森和久氏にお話をおうかがいしました。

(インタビュアー:足尾)

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コンプライアンスの社内教育体制について教えてください。

 森氏   コンプライアンスに関する集合研修は年間2回以上行うことにしており、そのうちの1回は食品表示や、それに関連する法令(JAS法や食品衛生法)をとりあげ、1回はコンプライアンス上の食品以外のテーマを扱うようにしています。
今年はこれまでに、集合研修と別に社内各部署の取扱商品や業務の特性にあった部署個別の研修を、コンプライアンス室のメンバーが農産、水産、畜産をそれぞれ担当して、実際に業務を行う部署のニーズや要望に合わせたテーマを実務部署と事前打合せのうえ決め、少人数の勉強会形式で行うことにしています。これまで畜産の加工品を製造している茨城センターの従業員への「基本的な衛生講習」を、茨城センターの責任者からの要請により、また青果の配送業務を行っている葛西センターの従業員への「廃棄物処理の講習」を、葛西センターの責任者からの要請により実施しました。

コンプライアンス教育を行ううえで今までに作成したツールや実施した教育について教えてください。

 森氏   専門知識分野の集合研修では外部講師、たとえば農林水産消費技術センターや食品検査分析機関などにお願いして行うケースが多いです。研修内容の質の確保が外部講師起用の理由で、それにより受講者に興味を持って聞いてもらうことを期待しています。またツールを使った研修としては伊藤忠グループのEラーニングが比較的安価に使えますので、これまで、食品安全、内部統制、情報セキュリティなどの研修に活用しています。

『会社員のためのミニドラマで学ぶコンプライアンス』(第一法規)を研修に利用されているとのことですがどのように活用しているか教えてください。

 森氏   社内共有サーバー上に全40テーマを掲載して、社内のコンピューターネットワーク環境において興味のあるテーマを受講者に見てもらえるように設定しました。(受講画面) 受講後アンケート用紙を提出してもらうようにしました。なお社外のネットワークからは、見られないような仕組みにするなどセキュリティ面に関しても万全な注意をはかりました。「職場で音が出てうるさい」というような声もあると思い、視聴用のイヤフォンを用意しましたが、最近は音楽プレーヤー等でイヤフォンを持っている社員も多く、ほとんど貸し出し依頼もありませんでした。

受講者からの評判はいかがでしたか?

 森氏   分かりやすいと、評判は上々でした。「自分が意識せず、当たり前にやろうとしていたことが実はコンプライアンスの観点から好ましくないことであることが分かり勉強になった」とか、「短いドラマでありながら面白く笑える部分があり、しかも分かりやすく、専門的すぎない内容であるのもよかった」等、面白く分かりやすい教材でありながら、意識を向上する効果がみられたように思います。

研修担当部としての感想を教えてください。

 森氏   意識付けの教材として、40話が偏りのないテーマで非常によくできていると思います。実際の職場において「ああ、こんな危ないことがあるな」とか「これは違反だったのか」などと思い起こさせる教材で、受講者の「気づき」を促し、意識が高まったと思います。3分で完結する短さもよかったです。入社以来、ずっと営業職でコンプライアンスに暗い東野課長がコンプライアンスのスペシャリストのしっかり者の女性に怒られるといった設定に関しても「ああこんなこと実際にあるなあ」と思えますし、面白みがあるキャラクターにも親近感がもて、楽しく飽きのこないドラマだと思いました。

森氏

成果はどうでしたか?

 森氏   受講後のアンケートによると、多くの受講者が「コンプライアンスの意識向上に役立った」との回答をよせてくれました。なお、アンケート票で「印象に残ったテーマ」について質問をしたのですが、その回答をみることで、それぞれの受講者がどのような問題をかかえているか、関心をもっているか、について洗い出すことができ参考になりました。


今後の取り組みの中で一番の課題と捉えている点は何ですか?

 森氏   パソコンでの受講環境のない生産や流通のラインで働く従業員への教育が課題です。お昼休みに食堂等で映像を流したり、残業のできないパート社員等に対しても、同じような面白い内容の研修をどのようにして実施すればよいか考えています。ビデオと同じような内容でもっと簡潔に、ドラマのシナリオを漫画などにした小冊子などを第一法規さんで企画していただければと思います。

今後考えている研修はありますか?

 森氏   現在準備中ですが、生産や流通の各センターでも、パソコンでの受講や、会社からの連絡事項が見られるように、休憩室、食堂などの共有のスペースにパソコンの設置を進めています。活用の方法は検討中ですが、『会社員のためのミニドラマで学ぶコンプライアンス』(第一法規)も視聴できるようにしようと考えています。

最後に、コンプライアンスの担い手は誰であると考えていますか?

 森氏   社長も新入社員や臨時的に当社で働いている人も含め全員だと考えます。一人ひとりが他者の求めを理解して利害を共有するという意識を持つことだと思います。他者というのはよく言われるステークホルダー(利害関係者)のことで、自分のとなりで働いている人、当社の製品を購入する企業、それを食べる消費者、また広くは社会全般や地球環境などを尊重する意識を持つことが大事だと考えています。

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*この記事は2009年12月に取材したものです

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