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第16回 丸文株式会社(2)

第16回も、前回に引き続き丸文株式会社を特集いたします。今回はコンプライアンスの体制構築・徹底への取組み・意識の浸透、環境への取組み・今後の方針について重点をおいてインタビューを行いました。

(インタビュアー:よっしー)

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コンプライアンス体制の構築に取り組まれたのは、いつ頃からですか?

佐藤氏  2001年度に、当社独自の倫理行動基準を作成するために、法令と規制の洗い出し、発生可能性などの調査を開始しました。「丸文倫理行動基準」が完成し、社内に通達したのは、2002年7月1日です。その後、2003年8月に「コンプライアンス準備委員会」を設置して議論を始め、2003年10月1日に社長直属の「コンプライアンス室」を設置しました。2004年4月1日には、「環境管理室」と「コンプライアンス室」を合体して、「CSR室」としました。今年度より、CSR室をCSR本部に格上げし、「コンプライアンス室」と「環境・品質管理室」の2部署体制にしました。

コンプライアンス活動組織図

御社におけるコンプライアンスに関係する制度にはどのようなものがありますか?

佐藤氏  新たな法令の施行や、大きな社会問題が起こると、わが社のコンプライアンス活動のテーマとすべきものがでてくる可能性があります。最近の事例では、二重派遣や偽装請負などの社会問題、JIS法改正に伴う新JISマーク対応、電気用品安全法の改正に伴うリチウムイオン電池規制対応、改正労働安全衛生法対応、安全配慮義務化の周知徹底などです。今年度からは、散発的に収集していた法改正情報の効率化を図るため、第一法規さんの「法令フォーカス」を利用させていただき、グループ全体で情報の共有化を図る予定です。また、現在の「通報制度」の敷居をできるだけ低くして、社員の精神的な負担や障害となるものを取り除き、より気軽に通報や相談ができるような仕組みです。それを、会社の問題だけでなく、個人の悩みに対する相談にも拡大して、個人のあらゆる「こころの相談」(育児、法律、病気、介護などを含む)に対応する計画、一般にはEAP(従業員支援プログラム)も、コンプライアンスの延長線と考えています。

コンプライアンス徹底のための取組みや研修テーマなどを教えてください。

佐藤氏  2008年4月1日づけで、グループ経営を徹底するために、従来の経営理念と倫理行動基準を見直し、新たにグループ全体に適用する「企業理念」と「企業行動憲章」、「行動規範」を制定しました。まず、この周知徹底が2008年度の最優先テーマです。次に、教育プログラムをグループ全体に適用するために見直して、目的別研修や、階層別・部門別研修、全社員研修などを行う予定です。「会社員のためのミニドラマで学ぶコンプライアンス」は、全社員研修と位置づけています。

社員の方々へのコンプライアンスに対する意識の浸透はどのような方法で確認されておりますか?

佐藤氏  自己監査と実地監査の組合わせが大切だと思っています。監査室による実地監査と、アンケート形式CSA(自己監査)またはワークショップ形式CSAの組合わせで、コンプライアンス監査を予定しています。その中で、意識の浸透度合いを確認し、その後の課題を検討する判断材料にしたいと考えています。これまでに、2度アンケートを全社員に実施して、階層別、年代別、職種別、男女別などのいろいろな属性で分析しました。今年度以降は、内部統制監査もありますので、グループ会社を含めた内部監査をどのように行うかは、今年の部門としてのテーマでもあります。

設立以来の理念として「社会に貢献する事業を行う」とありますが、どのような取組みをされましたか?

佐藤氏  過去、国家プロジェクトへの参画を始め、事業の中でいろいろな貢献事業がありました。最近では、当社の事業構造が、「半導体商社」に大きく傾斜し、この分野の売上が急拡大して、事業全体の8割以上を占めるまでになりましたので、国家のプロジェクトを通しての社会貢献を行うのは難しくなりました。1997年に東京証券取引所第2部に上場したことをキッカケに、それまで当社を育ててくださった業界に対して、事業収益の一部を還元するという目的で、財団法人丸文研究交流財団を設立し、人と資金の提供などを行っています。過去10年間で、表彰金および助成金は、総額3億円前後の規模になります。

御社の「環境方針」の中にも「意識の向上」という項目がありますが、具体的な取組みについて教えてください。

佐藤氏  環境問題は、ISO14001マネジメントシステムの中で、教育プログラムがしっかりとできており、組織内で定着し、徹底されています。入社時、配属時の基礎教育と、部門での環境目的・目標を設定した段階での教育があります。社員は、組織目標を記載した「携帯カード」を全員所持しています。内部監査のほかに、認証機関の審査が毎年ありますので、これらの教育は確実に実施されています。その他にも、「環境活動のてびき」という冊子を作り、全員に配付しています。毎月の活動結果が目標に到達しない場合は、是正措置を行うルールになっていますが、そのときの基本は原因究明と再発防止であり、その周知徹底としての教育があります。

サプライチェーン(海外も含め)に対する品質管理、環境管理、CSR活動等で取り組んでいることがあれば教えてください。

佐藤氏  最近は、環境問題だけでなく、人権問題や労働問題、倫理問題など幅広く含めたCSR活動を行っている会社と取引をしようという「サプライチェーンCSR調達」が世界規模で進展しています。私たちのお客様は、ほとんどがグローバル多国籍企業であり、CSR調達は私たち自身だけでなく、私たちのサプライヤーに対しても求められています。そうした要求に応えるため、2007年11月、ISO9001品質マネジメントシステムの認証を取得し、2008年度は、環境活動の推進部署と品質活動および環境品質保証活動の推進部署の3つを統合して、新たに「環境・品質管理室」とし、「コンプライアンス室」と合わせてCSR本部に組み入れました。また、新しい「行動規範」には、この「サプライチェーンCSR調達」で求められている項目も十分に加味してあります。

今後のコンプライアンスに対する取組みや方針をお教えください。

佐藤氏  コンプライアンスは、事件や法令制定・改正、意識の変化、国際的課題などで変化します。そうした社会の変化、ステークホルダーの動向などを見極めながら、体制を継続的に改善していかなければなりません。 グループ全体では、取り組む活動テーマを年度ごとに決め、確実に実行する体制にする予定です。2008年度のテーマはまだ決定していませんが、最近の動向では労働安全衛生法の改正、「安全配慮」の法的義務化、メンタルヘルス、ワークライフバランスなどの労務環境整備の社会的要請の高まりなど、社員の意識を損なうような職場環境は改善していかなければなりませんので、このあたりが今年の活動テーマかな、と考えております。

CSR本部コンプライアンス室長、佐藤氏

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