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内部統制室長の林和明氏と、同室の鈴木陽一氏

第28回 日本生活協同組合連合会(2)

第28回も引き続き日本生活協同組合連合会(日本生協連)におじゃましています。「職員が誇りをもって働ける組織にしたい。それが使命」と言い切る内部統制室長・林和明氏は、内部統制は日常業務そのものであると考えていらっしゃいます。

(インタビュアー:よっしー)

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「コンプライアンス推進」「リスクマネジメント推進」とあわせ、「組織風土改革」を内部統制室の大切な役割とお考えだとうかがいました。

 林氏   組織風土は、コンプライアンスやリスクマネジメントの要です。しっかりとした組織であれば、不祥事や不正は起きません。組織風土は、いわば「池の底の土壌」、そして不祥事や不正は、池の底の土壌汚染から浮かび上がる「あぶく」にたとえられます。土壌が汚れてしまうと、水の流れがとまり、よどんで汚れていきます。つねに清らかな水が流れるような組織にしていくことが大切です。

「土壌」である組織風土をきちんと見ていくことが、不祥事や不正の未然防止を可能にするというわけですね。

 林氏   内部統制は、“InternalControl”です。われわれは、自律した組織をつくりたい。「自己管理」「自己コントロール」が可能な組織づくりを支援したい。そのための仕組みやルールをつくっていきたいと考えています。内部統制が「ルールや規定をつくるもの」「統制するもの」だと思われてしまったとたんに、内部統制はできなくなると思っています。

内部統制室長・林和明氏

つねづね「内部統制は日常業務そのもの」だとおっしゃっていらっしゃいますね。

 林氏   内部統制は、内部統制室でやるものではありません。日常業務でまわるものです。一人ひとりの職員に自ら仕事のなかで自ら内部統制をしていただかなければなりません。

内部統制は「現場」がポイントということですね。

 林氏   日常業務そのものである内部統制は、業績評価・人事評価に結びつくべきとも考えています。たとえば目標管理制度のなかに内部統制に関する内容が入ることで、「仕事である」ことが明確になりますし、点検も行われるようになります。

「日常業務であるから人事評価と結びつくべき」という言葉には、とても説得力があります。

 林氏   「正当な評価がされない組織」は大きなリスクをはらんだ組織であると言えるのではないでしょうか。きちんとした人事評価や人事制度がないと、組織は疲弊し、くさっていきますから。職員もモチベーションがもてなくなってしまいます。「コンプライアンスをきちんとしていると人事評価にも結びつく」「リスク管理に気をつけていればよい人事評価となる」というのは必須事項なのです。

まさに組織風土改革ともつながってきますね。

 林氏   実際、コンプライアンスやリスクマネジメントを進めていくと、業務改善と結びつかざるを得ないと感じています。たとえば、現場からあがってくる声を聞いていると、新しい労働時間マネジメントが必要な時期にきていることを痛感します。そして、「業務が適正に行われているか」「適正な人員なのか」というリスクも大きくなってきています。内部統制のなかでも業務効率化や有効性をみるようになってきていますが、すべてリンクしています。

内部統制をきちんと行うと、職員が働きやすくなるというわけですね。

 林氏   内部統制室の使命は、「職員が自分に誇りをもって働けるように」、「もっと職員が働きやすくなるように」奮闘することだと思っています。職員からのコンプライアンス相談を受けていますが、たとえば「内部統制室に相談してよかった」「内部統制室がきてくれてよかった」という言葉が聞きたくて、という思いは強いですね。

職員の方たちからのそのような声は、担当者としては嬉しい限りですね。

 林氏   われわれの部署のような推進部署は、「コンプライアンス経営をやって組織がよくなったか?」「リスクマネジメントをやって組織がよくなったか?」を自問すべきだと思っています。これからも、つねに自問を繰り返しながら、業務をすすめていきたいですね。

ありがとうございました。

(編集後記)
日本生活協同組合連合会様からは、冷凍ギョーザ問題をはじめ、食の安全と関わるさまざまな発表が行われております。弊社は以前より、今回お話をおうかがいいたしました林氏が、組織内におけるコンプライアンス浸透のために、さまざまな工夫をこらし熱心に取り組んでいらっしゃるご様子をうかがっておりました。その取り組み内容は、コンプライアンス・内部統制のご担当者の方々にとって、おおいに参考になるものであると考えております。そのため、コンプライアンスおよび内部統制に対する取り組みを中心に、今回ご紹介をさせていただきました。

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*この記事は2008年10月に取材したものです

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