第一法規株式会社|教育研修一覧

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CSR室CSR報告書編集長の星野邦夫氏

第2回 帝人株式会社(2)

前回に引き続き、帝人株式会社におじゃましています。
今回はコンプライアンス体制と教育研修について、どのような取り組みをしているか、インタビューしてまいりました。

(インタビュアー:みち)

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コンプライアンス体制・仕組み構築でも、CSROによる強いリーダーシップを感じますね。

星野氏   コンプライアンスは、リスクマネジメントと並列してコーポレートガバナンスの柱となる内部統制の基盤であると明確に位置づけられています。特筆すべきは、年1回CSRO監査ですね。各グループ会社および事業グループに調査票を配り、コンプライアンス・リスクマネジメント活動実績と法令違反・事件、事故の有無を報告してもらいます。同時に、各社の社員対象に無作為抽出で同内容を含んだアンケートを行いますので、報告が真実であるか、ある意味「裏」をとれる仕組みになっています。

ずいぶん以前から内部相談・通報制度を設けておられますね。

星野氏   1999年に社長に直接相談・提案ができる「スピークアウト」を設けて以来です。内部通報のためのホットライン以外にも、インターネット上に「社外通報受付窓口」を設置し、社外の取引先が通報できる仕組みにしてあります。問題が大きくなる前に通報いただくことで、比較的スムーズな解決につながりますので、リスクマネジメント上、十分機能しています。

コンプライアンス研修はどこの企業も重要な課題の1つですが。

星野氏   1998年に管理職を中心に集合研修を行ったのが最初でした。その後、グループ会社が増えたことでCSR室が出て行っての集合研修はなかなか難しくなったため、Eラーニングも導入しました。コンプライアンスEラーニングは、グループの全管理職および、中核会社中堅社員の昇格時を必須対象として、約2,000人に実施。企業倫理月間には、さらに一般希望者全員を対象としています。教材は、「会社員のためのコンプライアンス入門」(第一法規)から、必要な分野だけ抜粋して、Eラーニング化したオリジナル教材です。毎年改訂をかけながら、 3年にわたって利用しています。非常にわかりやすく、説明が丁寧ですね。法律の素人でも読めると感じます。営業にいた経験があるんですが、実際に仕事をしていく上で「こういう場面に遭遇するんだよね」という現場の視点で書いていることがわかる。法律家が書いたものはこうはいかないでしょうね。行動基準を挿入したり、CSROである副社長の合格認定書を出すなどの工夫もしています。

帝人グループの行動基準に沿ったケーススタディも入っていますね。

星野氏   受講者に臨場感を持ってもらうための工夫が必要です。建設会社の事例を、当社の業態に近い繊維会社にするなど、場面設定や業界等を自社にあてはめなおしました。また、環境関係は別途教材を作っているのでカットして、人事・勤労、営業・取引関係に比重をおきました。他のEラーニングが 1時間ほどで終わるのに比べて 4時間ぐらいかかる内容なのですが、そのわりに非常に受講率が良かった。受講率は約9割、テストの合格率も約8割を超えています。

社員の方々の反応はいかがですか。

星野氏   受講後のアンケートによると、 9割以上の方々がためになった、わかりやすかったと回答しています。「法令順守といわれて漠然としていたが、業務に関連する法令知識が包括的に学べて有意義であった」などの声はうれしいですね。 99年以降、社員無作為抽出で企業倫理アンケートを毎年実施していますが、社内意識や社内の倫理活動支持率も上がっています。

最後に、今後の課題を教えてください。

星野氏   多様な CSR の課題をどう社員に浸透させるかが課題ですね。また、CSRの基本的課題の一つであるコンプライアンス・リスクマネジメントについて言えば、 Eラーニング、ケーススタディと並行して、グループ会社のすべてにおいて、それぞれの職場が、職場の業務の中から、コンプライアンス・リスクマネジメント上の課題を見つけ、対策を討議できるようになることが一つのゴールだと思っています。

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