コンプライアンス教育というと、個人に対する倫理観の醸成や法的知識の習得などが真っ先に叫ばれます。これを「個人のコンプライアンス」と呼ぶとしたら、私は「組織のコンプライアンス」と呼ぶべきものがあるだろうと感じています。
個人のコンプライアンス
「個人のコンプライアンス」は、「好かれること」、「信頼されること」が目標です。そのためには、法律やルール、上司の命令を守る規律性、マナーや常識を備えた良識性、正直さや誠実さがにじみ出る誠実性、誰にでも納得される公正性、他人本位ではなく、何ごとも自発的に取り組む主体性の5つが重要だと思っています。そのため、コンプライアンス教育は、この5つの行動側面を中心に行うべきだと考えています。(注)
組織のコンプライアンス
「組織のコンプライアンス」は、「成果をあげる」ことが目標です。組織のメンバーが、与えられた役割を果たし、自分の能力を最大限に発揮することが前提条件です。そうしたメンバーが集まって組織を形成し、お互いを信頼し合い、情報を交換したり、仕事の進み具合を確認したり、場合によっては支援を申し出たり、必要なら計画や進め方の見直しを行いながら、組織の目標に向かって努力することだと思います。
(注)中村葉志生 「国際文化研修2008春 Vol.59」