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第31回 旭化成株式会社(1)

第31回は旭化成株式会社をお訪ねしました。同社は、男性社員の育児休業取得促進に積極的に取り組み、2008年11月、旭化成グループとして「第2回ワーク・ライフ・バランス大賞」(主催:次世代のための民間運動~ワーク・ライフ・バランス推進会議~財団法人社会経済生産性本部)優秀賞を受賞されました。男性社員の育児休業取得はもちろん、同社のワーク・ライフ・バランスへの取り組みを、同社人財・労務部 EO推進室部長の田中恭代氏にお聞きします。

※旭化成(株)、旭化成ケミカルズ(株)、旭化成ホームズ(株)、旭化成ファーマ(株)、旭化成せんい(株)、旭化成エレクトロニクス(株)、旭化成建材(株)、旭化成メディカル(株)

(インタビュアー:大麦)

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御社がワーク・ライフ・バランスに取り組み始めたきっかけをお聞かせください。

田中氏  とくにきっかけはありませんが、仕事と家庭の両立を支援していくという方針は、1990年代に「これからは、男女問わず働きやすく働き続けることのできる制度施策が必要だ」という議論を始めた頃からありました。当社の育児休業は昭和40年代からありましたが、より多くの人が利用できるように1992年に改訂し、さらに99年に3歳到達後4月1日まで期間を延長する制度改定をした頃から、より強く意識をしてきたと思います。

ワーク・ライフ・バランスには、どのような体制で取り組んでおられるのでしょうか。

田中氏  現在は、労使の専門委員会での検討を中心に取り組んでいます。また会社側にはEO推進室(93年設立)という専門部署もあります。

「第2回ワーク・ライフ・バランス大賞」優秀賞の受賞おめでとうございます。育児休業制度はどのような制度になっているのですか。

田中氏  子供が3歳到達後の4月1日までを最大として取得できる休業制度で、06年に、配偶者が常態として育児可能でも取得できるように変更しました。また、1歳までの子供のための休業の場合、5日間が有給、複数回取得可能です。さらに短期間の取得であれば、上司への口頭申請のみで取得可能です。

男性の育児休業取得の促進に取り組んだのは、どのようなきっかけからでしょうか。

田中氏  きっかけは、次世代育成支援対策推進法の第一期行動計画策定の際の議論です。育児休業というより、女性だけでなく、男性社員が誰でも育児参加しやすいような風土、雰囲気を醸成しようと考えて取り組みを開始しました。「ニューパパプロジェクト」というミニプロジェクトを作って、若手男性社員に「どうしたら育児休業をとれるか」という検討をしてもらったところ、どうも心理的にも経済的にもとりづらいという回答があり、「では、彼らがとりやすいようにするにはどうしたらよいか」という視点で取り組んできました。男性の取得者は、06年1月の育児休業制度改定以降の累計で約700名になり、07年度(07年4月~08年3月)は268名でした。

取得促進のために、どのような工夫をしていますか。

田中氏  制度PRと、申請書類不要の短期間の育児休業取得者の数を把握する目的で、キャンペーンを展開しました。自社製品を使用したおむつと、ジップロックと、手書きのお祝いカードを休業取得者に送るというものですが、社報等の広報の甲斐もあり、「じゃ、取ろうか」という人も多かったように思います。07年からは、子供が生まれて8カ月たっても取得していない社員に上司経由で取得を促すメールを発信し、上司だけでなく、本人にも意識喚起をしています。また、制度を根付かせるために、子の出産に関する社内手続をとった社員に、制度の内容をあらためて知らせるなどの工夫を行っています。

取り組んでいる中で、ご苦労されている点や、うれしく思うことはどのようなことでしょうか。

田中氏  現在では配偶者が出産された男性の50%弱の社員がこの制度を利用されています。苦労している点はありませんが、逆に、上司や職場が男性社員の背中を押して取得に結びついているケースも多く、職場の協力に頭が下がる思いです。3年たった今、だんだん休業取得が普通になってきていることを感じ、そういった点がうれしい点ですね。

「育児短時間勤務制度」はどのような制度ですか。

田中氏  子供が小学校就学までの間、一日2時間を限度に勤務時間を短縮することができる制度です。フレックスタイム制度と併用して利用される方も多く、業務の繁閑や、子供の状態等にあわせて利用できます。保育園のお迎え時間等にあわせて利用される方が多いですね。07年度(07年4月~08年3月)の利用実績は168名です。

07年9月には新たに「キッズサポート短時間勤務制度(以下、キッズサポート制度)」を創設されたそうですが、これはどのような制度ですか。

田中氏  小学校入学から、3年生の終わりまで、一日2時間を限度に勤務時間を短縮することができる制度で、制度の概要は育児短時間勤務制度と同じです。07年度(07年9月~08年3月)の利用実績は24名です。

この制度を創設したきっかけ、目的についてお聞かせください。

田中氏  小学生のお子さんをお持ちの方は、学童保育を利用されるケースが多いのですが、保育園と異なり、預けられる時間が短いこともあり、小学校入学前に働くお母さんは不安に感じることが多いようです。そういった不安を解消し、希望に応じて短時間勤務対応ができるように、制度を創設しました。

両制度の運用にあたって工夫されている点などをお聞かせください。

田中氏  「育児短時間勤務制度」と「キッズサポート制度」は別の制度として運用しています。もし継続して2つの制度を利用される場合も、「キッズサポート制度」を申請されたところであらためて上司と今後の業務、働き方について話をしていただくようにしています。

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*この記事は2008年11月に取材したものです

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