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倫理・リスク管理部の牛尾幸宏氏と前野一氏

第64回 カルビー株式会社(1)

第64回は、カルビー株式会社を訪ねました。
お話をうかがったのは、倫理・リスク管理部の牛尾幸宏氏と前野一氏。一つひとつの具体的な取組みを通して、行動規範の徹底を目指していらっしゃいます。コンプライアンス推進担当者としての、熱い想いと信念をうかがいました。
インタビュー時期:2010年12月

(インタビュアー:よっしー)

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御社では現在、どのようなコンプライアンス推進活動をなさっていますか。

牛尾氏  ここ数年は、とくに「行動規範の浸透・徹底」に比重を置いて活動しています。風通しの良い、お互いを認め合う風土をめざすことを、グループ共通のスローガンとして掲げ、活動を進めています。そのなかで、たとえば、きちんと挨拶をする、相手を「さん」づけで呼ぶというような、基本的な接し方や話し方がお互いにできる職場であることが、コンプライアンスや行動規範徹底の基盤として、非常に重要であるとあらためて強く感じています。

「『ありがとう!』『ごめんなさい!』を素直に伝える」という実践行動は、とても具体的ですね。

牛尾氏  現場の従業員同士の人間関係が、「ありがとう」や「ごめんなさい」を素直に伝えることができる関係でなければ、コンプライアンスの実現も行動規範の実践もありません。また、チームの力があってこそ、生産も営業も成果につながりますから、お互いに感謝やお詫びという基本的なことがしっかりできるということは、とても大切です。

倫理・リスク管理部の牛尾幸宏氏と前野一氏

現場に健全なコミュニケーション環境がなければ、リスクの情報が現場から会社の上層に報告が上がるといったことも、難しくなってきます。いま、多くの職場で、パワーハラスメントや従業員のメンタルヘルスが課題となっていますが、職場におけるコミュニケーションの問題とも密接に絡んでいるかと思います。

牛尾氏  パワハラやメンタルヘルスについては、当社でも、今後どう取り組んでいくべきか、重点的に考えています。以前に較べると、業務管理が複雑になったり、現場の第一線における管理職の負荷が重くなったりという状況があります。だからこそ、高い倫理観をもって、一人ひとりが行動規範を実践するという基本的なことが、ますます重要になっていると認識しています。

行動規範については、エシックスカードの携帯を、従業員のみなさんに徹底されているとうかがいましたが、このカードはどういうものですか。

前野氏  エシックスカードには、企業理念・ビジョン・行動規範・行動指針・行動チェックその他倫理ヘルプラインの連絡先が記載されています。エシックスカードは、常時携帯を基本としています。まずは、全従業員が必ず携帯することからはじめました。

行動規範の内容は、具体的にどのような内容ですか。

前野氏  カルビーグループでは、行動規範として、次の6つの項目を掲げています。
1. 法令および社会規範等の遵守
2. お客様本位の徹底
3. 従業員の尊重
4. 公平かつ公正な関係の構築
5. 環境・資源の保全・保護
6. 地域社会への貢献

スローガンである「お互いを認めあう風土をめざす」というのは、まさに「従業員の尊重」という行動規範の実践ですね。

前野氏  そのように認識しています。従業員一人ひとりは、個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければなりません。

牛尾氏  行動規範には「お客様本位の徹底」という項目もありますが、当社には、「お客様との接点を大切にする」というDNAがあります。たとえば、お客様相談室には、さまざまなご意見が、直接、お客様から届きます。ご意見の件数はとても多いのですが、我々がそれらのご意見に対して全件対応をしているのも、「お客様本位の徹底」の実践のひとつのあらわれといえると思います。

御社のお客様相談室は、他の企業のモデルとなるくらい、非常にレベルが高いとうかがいました。

牛尾氏  おかげさまで他の企業の皆様が視察にいらっしゃいます。我々はお菓子を製造している企業ですから、お子さまに対しても、イメージや情報発信、製品などあらゆる面で非常に強い影響力があります。そのようななかで、従業員や会社のマナーといった内容を含め、たくさんのご意見が、お客様相談室に寄せられます。厳しいご意見も数多く含まれていますが、これら全てに対応する仕組みを作っています。

牛尾氏

まさに、お客様本位の経営ですね。

牛尾氏  当社は、消費者に直結する商品を作っていますので、お客様(社会)からの要請を直接うかがうことができるということは、企業活動において大変メリットがあることと感じています。

ところで、グループ全体の事務局としてコンプライアンスを推進する部署のお名前が、「倫理・リスク管理部」となっているのですね。

前野氏  組織としてコンプライアンスを担当する部署を設置した当初は、「コンプライアンス室」という部署名でした。2005年のことです。

前野氏

牛尾氏  当時、グループ会社で植物防疫法違反を起こし、我々が関係する法令が守れていなかったという大きな反省がありました。その反省が、組織全体でコンプライアンスを進めていく大きなきっかけともなりました。その後、法令はもちろんですが、社会的要請もどんどん変化していくなかで、我々のコンプライアンス推進活動における重点テーマも、リスクを含めた対応、社会規範や倫理を含めた対応へと変遷をとげ、それにともない、担当部署の名前も変更してまいりました。

そのような継続的な活動を経て、現在の「倫理・リスク管理部」があるわけですね。

牛尾氏  倫理とは、さまざまな価値観があり、多様な要請があるなかで、「ここは社会で活動する限り守らなければならない」というものを、みんなで深く考えることではないでしょうか。我々の行動規範では、1番目に、「法令および社会規範等の遵守」として、企業としての高い倫理観を掲げています。名は体をあらわすといいますが、部署名としても「倫理・リスク管理」を掲げることで、社会規範といった根底にあるものを、しっかりとみんなで目指していこうと考えています。

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*この記事は2010年12月に取材したものです

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