(インタビュアー:大麦)
どのようなきっかけで、ワークライフバランスに取り組まれることになったのですか?
山田氏 一つ目の理由は、社員の年齢構成です。当社は、20~30代前半の社員が多く、その3分の1が女性であり、働き続けてもらうためには、出産・子育てと仕事が両立できる仕組みが必要でした。
二つ目は、ソフトウェア開発を主業務とする当社にとって、「人材の流出」は、「スキルや知識の流出」に直結するからです。実際、近年、その流出分に見合うだけの人材を、数の面でも質の面でも、補充できなくなっていました。
ソフトウェア開発を主業務とされている点も大きかったのですね。
山田氏 さらに、特に新卒応募者など若い世代の仕事と生活に関する価値観が多様化し、仕事ひと筋の働き方しかない会社では、ライフを重視する優秀な人材が採用できないと考えたのが、三つ目の理由です。
さまざまな価値観を持った人材が、長く働き続けられる環境の整備こそ、会社の持続的発展の素だと考えました。
制度はどのように整備されたのですか?
山田氏 2007年2月に、社員一人ひとりが、仕事と生活に対する自分の価値観にしたがって、二つの人事制度から自分に合ったほうを選べる「選択型人事制度」を導入しました。
「選択型人事制度」とはどのようなものですか?
山田氏 二つの人事制度のうち、仕事、つまり「ワーク重視」の人事制度が、PS制度です。PS制度を選択した社員には、仕事への高いコミットメントと、高い成果が求められます。必然的に、時間の拘束度も高くなり、転勤もあります。IT企業である当社の、「従来型」に近い働き方です。実際、今でも全社員の95%が、PS制度を選択しています。
給与や評価はどのようになるのですか?
山田氏 給与は、10階層の職階に従った基本給になります。
PS制度、DS制度ともに、上司との面談を半年に1回実施し、評価は、年に1度の絶対評価で行います。「S」評価なら年間12万円、「A」だと年間6万円の昇給で、「B」評価だと据え置きとなります。
もう一つの制度はどのようなものですか?
山田氏 生活、つまり「ライフ重視」の人事制度が、DS制度です。最大の特徴は、労働時間や日数を、個々のライフプランや価値観で、自由に決められることです。
DS制度を選んだ社員がフルタイム(週5日間・1日8時間)より短く働けば、短時間正社員ということになります。
こちらの場合の、給与はどうなりますか?
山田氏 給与は、その社員がPS制度を選択したときのランクに従った基本給から割り出した時間給で、実際の勤務時間分、支払われます。毎日出社する場合は月給、週4日勤務以下であれば日給となります。
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*この記事は2010年10月に取材したものです
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