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コンプライアンス室長の森和久氏

第58回 伊藤忠フレッシュ株式会社(1)

第58回は伊藤忠フレッシュ株式会社におじゃましました。
伊藤忠フレッシュ株式会社は、「おいしいことはもちろん「安心」「安全」に食を楽しみたい」という考えのもと、食品の仕入・生産・販売を行っています。今回はコンプライアンス室長の森和久氏、業務推進室の嵯峨山晶子氏にお話をおうかがいしました。

(インタビュアー:足尾)

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おうかがいする前に御社のHPを拝見しましたが、リニューアルされたようですね。

嵯峨山氏 当社はBtoBでの業務が多いのですが、当社の商品を口にするお客様から直接当社に問い合わせが入ることもあります。そこで、お客様からの問い合わせ窓口を設け、問い合わせに対するレスポンスを迅速化するため、また、より多くのステークホルダー(利害関係者)に対して、より多くの情報を配信していくためにリニューアルを行いました。

リニューアルされたきっかけはなんですか?

嵯峨山氏 伊藤忠グループでグループ各社のHPを見直す機会がありました。そこでの改善案を受け、3か月後の年次更新に合わせ大幅なリニューアルを起案し実施しました。業者の選定からサイト構築までタイトなスケジュールでしたが、このような改善は迅速に行うことが重要ですので、社内各部署の協力を得て取り組みました。
※起案が決裁されてからサイトの公開まで2週間(グループ内の検討会から3か月後)。

業務推進室の嵯峨山晶子氏

御社にとって、コンプライアンスにおいて重要なことは何ですか?

 森氏   当社は農産、畜産、水産の生鮮食品と、生産・流通拠点の機能を生かした業務用加工食品を顧客に販売しています。当社の商品の販売先はスーパーや外食業界ですが、その先には一般消費者がおり、当たり前ですが販売する商品のすべては消費者の口に入ります。食品は人の健康、生命の維持のためのものですから、安全なものを供給する責務が当社にはあると考えています。そのため、やはり、当社のコンプライアンスの最重要事項は食品安全です。

「安全」「安心」確保のために具体的にどのようなことを行っていますか?

 森氏   食の価値観は人によって異なると思いますが、最近では「安全」であることは当たり前で、消費者の求めるものは「安心・おいしい・健康に良い」など基準の曖昧な価値観に及んでいると思います。「安全」に対しては衛生検査分析などの定量的な確認を従来から行っていますが、「安心」確保のため、卸売り業者として他社が作ったものを単に仕入れて売るだけではなく、外国や国内の食品製造時の安全・品質・原材料からの工程トレースなどの確認や、場合によっては製造者の企業社会性の評価を行うなど、責任意識をもって、メーカー的な視点で商品調達を行う体制を目指しています。

コンプライアンス室長の森和久氏、業務推進室の嵯峨山晶子氏

伊藤忠グループとしての体制に加え、御社独自の体制等があれば教えてください。

 森氏   社内の組織としては、コンプライアンス室内に食品安全管理課があり4名が所属しています。その専任の4人に加えて、生産を行う拠点には食品安全管理課に紐付いた品質管理チームが日々の自社製造品の衛生管理を行っています。また食品安全会議として社内の営業、製造部署よりそれぞれ1名を組織化して定期の連絡会を実施し、食品コンプライアンス上の連絡や協議を行ったうえ、自部署に持ち帰り自律管理を行うという体制をとっています。
伊藤忠グループとしての強みは、グループ内のコンプライアンス連絡協議会の機会などに最新のコンプライアンスに関する情報を入手できたり、研修を受けられたりすることです。グループ内食品関連の他事業会社との情報交換ができることは大きなメリットと考えています。

経営の最重要事項の一つとして「地球環境問題への積極的取組」をあげられていますが、どのような体制、取り組みがありますか?

 森氏   2002年9月に環境ISOを本社及び静岡にて取得後、他の拠点にも展開しています。特に生産流通の設備を持つ各センターにおいて環境関連法規に対する監視測定、順守の体制、仕組みを確立したことがISOの効果だと思います。正直言って投資を伴うような積極的環境対策はこれまであまり出来ておりませんが、本社のテストキッチンで出る試作.試食残渣を冷凍保管して堆肥禁忌物(竹串や甲殻類の殻など)を取除き肥料化するなど地道な活動をしてきました、最近では省エネ対策や温暖化への対策が企業として重要となっていますので、超低温冷蔵庫のある静岡センターにおいて電気エネルギー削減取り組みや、脱フロン対策として冷凍設備のノンフロン化の検討を開始しています。

「環境問題」に関して悩んでいることはありますか?

 森氏   生鮮食品を扱っていますと、やはりどうしても食品廃棄物が出ます。水産や畜産の加工拠点では残渣が出ますし、青果の流通拠点でも熟度が進んでしまった果物の廃棄が発生します。季節要因などで防げないケースもあるのですが、対策としては流通オペレーションや仕入管理の見直しによるロス削減管理を徹底するなどして廃棄物発生を抑制しています。また鮪に関しては、製造工程で手間が掛かるなどの理由でこれまで活用されなかった部位を利用して商品にするようにしています。これらはコスト削減効果もあるため、さらに推進していきたい部分です。

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*この記事は2010年7月に取材したものです

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