(インタビュアー:よっしー)
御社がコンプライアンスに取り組む上で、重視していることはなんですか?
村田氏 公共交通機関である当社は、やはり何を置いても、お客様の安全を第一に考えています。また、お客様に対するサービスを向上していこう、ということも重視して、取り組んでいます。
人の命に関わるということで、何よりも安全を重視されているんですね。
村田氏 そうですね。安全を脅かすようなコンプライアンス違反や、サービスを低下させるようなコンプライアンス違反が起きないよう、研修を通じて社員に対して意識づけをしています。
また、起こってしまったものについて、たとえば、ある職場で違反が起きた場合などは、その職場で働く社員だけでなく、本社社員やグループ会社を含めた全体の課題として取り組むことで、違反の拡大を防止しています。
どういった姿勢で、コンプライアンスに取り組んでいるのですか?
村田氏 全てのステークホルダーの期待に応えたい、という姿勢で取り組んでいます。利用していただいているお客様、投資家、取引先、当社の社員、社会からのニーズを的確に把握し、社会から高く評価される会社になることが目標で、それを実現できるようにコンプライアンスに取り組んでいます。
具体的には、どのような取り組みをしているのですか?
福田氏 コンプライアンス研修を実施したり、「行動目標シート」というものを、職場ごと・個人ごとに毎年作成しています。
「行動目標シート」とは、どのようなものですか?
福田氏 当社の「コンプライアンス行動基準」に従って、ステークホルダーの期待に応えられるように、どういったことに配慮して行動すればいいのか考えて、職場ごと・個人ごとにそれぞれ目標を作成しています。
村田氏 この行動目標シートは、コンプライアンスの意識づけを目的として行っています。普段の業務のなかで、コンプライアンスについて考えてもらえるきっかけになればと思っています。
全社員に、この目標シートに取り組んでもらっているのですか?
福田氏 はい。駅社員や、車両などを保守する社員、売店の販売員なども含めた、全ての社員に取り組んでもらっています。
法務課として、コンプライアンス活動を進める上で特に苦労した点はありますか?
福田氏 多くの職種が存在する当社では、各職場に浸透させるのに一番苦労しました。当社は、寝食をともにするような社員の結びつきがとても強い職場が多く、こういった結びつきの強さはチームワークで仕事をする職場において大変重要ですが、コンプライアンスを実施するにはかえってデメリットとなる面もありました。
同じ釜の飯を食べる、というような関係の社員同士の結束は強そうですね。
福田氏 そういった職場には暗黙のルールがあり、何か変だなと思うようなことがあったとしても、「昔からの慣習だから」「みんなやっているから」と誰も声をあげなかったり、また自分に関係のない研修については関心を持ってもらえないということがありました。
村田氏 職場で常識だと思っていることが、世間の常識とは違う場合もあります。世間の常識と会社・職場の常識の乖離があればそれを埋めていくことが、我々法務課の役目であると考えています。
そういった職場で、コンプライアンスへの理解を深めてもらうために、どのような工夫をされたのですか?
福田氏 「自分だったらどうしますか?」と問題提起をしていき、自分の立場に置き換えて考えてもらえるようにしました。自分には一見関係ないと思えるような事例であっても、もしかしたら自分の周囲にも起こる可能性があるかもしれないということを、繰り返し伝えることによって社員の意識を変えられるよう、取り組みました。
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*この記事は2011年2月に取材したものです
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