第一法規株式会社|教育研修一覧

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総務部長の美濃口真琴氏

第33回 株式会社東京証券取引所グループ(1)

第33回は株式会社東京証券取引所グループをお訪ねしました。
平成13年に株式会社化して以降、同社はコンプライアンス・ CSR に対してどのような活動を進めてきたのでしょうか。
今回は、同社総務部長の美濃口真琴氏と CSR 推進部長の椎名康雄氏にお話をお伺いしました。

(インタビュアー:たなやん)

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御社がコンプライアンス体制の構築に取り組まれた時期、きっかけについて教えてください。

美濃口氏 当社はもともと「会員組織」という特別な形態の法人だったのですが、平成13年に株式会社化しました。ただ、その時点では統一したコンプライアンスについての社内規程がなく、公共性の高い業務内容を考えるとコンプライアンスに関する体制を早期に構築する必要があるとの認識をもち、また、当社が開設する市場に上場する企業に対しても、模範にならなければならないとの意識から、取組みをはじめました。

御社のコンプライアンス体制、仕組みには、どのように取り組まれたのでしょうか?

美濃口氏 コンプライアンス・プログラム(以下、CPとする)が完成したのは平成17年1月で、その約半年前から本格的にプログラムの作成には取り組みだしました。企業不祥事が続発し、公益通報者保護法が平成16年6月に成立した時期です。顧問弁護士等の話を聞きながら考え方の整理を進めるとともに、企業行動憲章を制定し、内部通報窓口としてホットラインも整備しました。コンプライアンス推進の体制としては、責任者が社長、コンプライアンス担当役員は総務部担当役員、また担当事務局は総務部となっています。

コンプライアンス研修の中でも、特に力をいれて研修を行っているテーマなどはございますか?

美濃口氏 コンプライアンス全般の研修はもちろんのこと、当社には上場企業の情報を扱う業務等もありますので、情報セキュリティやインサイダー取引防止などの研修にも力を入れています。

御社における、コンプライアンスの周知や徹底のための研修や啓発活動はどのように進めていますか?

美濃口氏 CP導入の際には、全社員を対象に集合研修を行いました。その後は、最低でも年に1回、全社員を対象にeラーニングを行っています。コンプライアンスに関する基本的な考え方として、そもそも法令や社内規則を守るのは当たり前であり、社会常識等広く社会規範を遵守していく必要があるということを伝えたいと思っています。
具体的な啓蒙のツールとしては、平成17年10月に基本的な考え方や関連規則等をまとめたコンプライアンスハンドブックを作成し、必要に応じていつでも参照できるよう全社員に配布しています。また、携帯用に企業理念と企業行動憲章をまとめた手帳サイズの冊子も全社員に配布しています。これらの冊子は、当社の組織体制が平成19年に変更されたことを機にその年の11月に改訂も行いました。また、今年度は第一法規の「コンプライアンス意識調査」を利用し、社員への浸透度調査も行います。

コンプライアンスハンドブック

コンプライアンス・プログラム導入後の効果、影響度はいかがですか。

美濃口氏 もともとは営利企業ではなかったという組織の性格もあるのでしょうか、規則を破ってでも実績があがればいいという組織風土ではなかったように思います。その意味では、CPの導入により社内の雰囲気が劇的に変化したというようなことは無ないように思います。ただ、「こういった対応は、企業行動憲章やコンプライアンスの観点から問題はないのか。」と言いったような問い合わせが担当事務局に寄せられることは結構それ以降増えたように感じられますので、社員の意識への浸透とい言う意味では、CPの効果はあったと思います。

コンプライアンス研修を受講した社員や経営層、管理職の方の反応や効果についてはいかがですか。

美濃口氏 コンプライアンスの考え方、理解は深まったのではないでしょうか。全体的にみて、概ね好評でした。研修ではないのですが、一昨年に、当社の全事務室に企業理念と企業行動憲章を書いたポスターを掲示するというようなことも行いました。その際、社長から全社員向けにコンプライアンスについて意識を喚起するメールを送るなどの啓蒙活動も行っています。

企業理念と企業行動憲章

御社における、コンプライアンスとリスクマネジメントの考え方はどのようなものですか?

美濃口氏 コンプライアンスは、広義ではリスクマネジメントの一環ではないでしょうか。職場におけるリスクを意識しそれを拾い上げ、もし問題が発生すれば可能な限り早期に対応していくことがコンプライアンスにつながると思います。

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*この記事は2009年1月に取材したものです

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