(インタビュアー:足尾)
≪コンプライアンスの徹底・取り組みについて≫
50項目にわたる行動基準を従業員の皆様にどのように周知(研修)されていますか?(御社ならではの体制や仕組み、参考にされたもの、構築や周知におけるエピソードなどあれば)
進藤氏 内部統制推進部が主管部門となり、山武グループ倫理委員会を設けコンプライアンス施策を進めています。2006年の行動基準の改定に際し、更に実効的な運営の仕組みとして、山武グループ全体のグループマネージャ以上の組織責任者約1200名で構成されるコンプライアンス責任者/リーダー体制を作りました。従業員へ「YG行動基準」を展開するにあたっては、CSR担当役員からの要請に基づき、コンプライアンス責任者/リーダーには各職場で行動基準の説明を行い、その結果を報告してもらいました。また、チェックリストを用いて従業員は職場の自己点検を行います。職場の弱点を把握することで、組織責任者および主管部門は補強を行い、この結果をその後の研修に生かしています。
部署によって温度差はないのですか?
進藤氏 会社全体での意識の底上げはできていると思いますが、まだまだ部署毎に温度差があります。組織責任者である、部長や本部長と共にグループマネージャはコンプライアンスの責任者およびリーダーとして、意識を更に高めてもらいたいと考えています。
成果はどうですか?
進藤氏 意識の高い部署からは、実際に行動基準の説明やコンプライアンス・テキストの輪講をやってみて非常によかったという声があがってきています。今後は、その体験を全体に広げていくこととなります。従業員ひとりひとりの意識を高めるためには、先ず「我々は何故コンプライアンスが重要なのか」ということをコンプライアンス責任者/リーダー自身が十分に理解する必要があります。したがって、昨年度はコンプライアンス研修で、コンプライアンスの重要性を解説しましたが、これも役だったのではないかと思っています。
今後考えていることはありますか?
進藤氏 コンプライアンスの意識付けにはメリハリのある継続的な行動が重要なので、時期を特定し行動基準を唱和したり、教育用の事例を増やして行くことも考えています。
コンプライアンスの周知や徹底のための、社員教育など研修や啓発活動、ツールについて教えてください。(実施したもの、スケジュール、今後実施していくものなど)
進藤氏 階層別コンプライアンス教育を行っており、当社グループの役員には倫理月間に外部講師による内部統制をテーマとしたセミナーを開きました。コンプライアンス責任者/リーダーおよびその他管理専門職には、コンプライアンス研修を含むCSR教育を、関連主管部門からの講師が全国の支店・支社・工場等へ出向き集合研修方式で行いました。外部講師によるコンプライアンス事例教育手法の研修も新たな試みとして実施しました。また、新入社員研修および随時海外赴任前研修も行っています。
集合研修を多く取り入れている意味は?
進藤氏 コンプライアンスeラーニングは最初の意識付けとして、山武グループ企業全体を対象に行いました。業界固有のテーマあるいは徹底を要するテーマ等に関しては、該当部門の担当者が法令に則して、してはならない事柄等を含め具体的に解説すると教育効果が高いため、集合研修としています。
社員や経営層、管理職の方々の反応はどうですか?特に経営トップの反応は?
進藤氏 全ての階層にわたって、徐々にコンプライアンスに対する理解を得られてきたという感触はあります。研修後のアンケートで、役員セミナーでは「セミナーをまた開催してほしい」という声があり、リーダー研修でも「体系的に理解できたのでもっと研修を増やしてほしい」、「管理職昇格研修に入れるとよい」という声も出てきています。社内でCSR経営の確立に向けた動きを耳にする他、コンプライアンスの情報に接する機会が増えてきたため、意識が高まってきたのではないかと考えています。
コンプライアンスに接する機会が増えてきているとは?
進藤氏 コンプライアンスに関する社内HP(コンプライアンスWeb)を2003年から立ち上げています。以前はほとんどアクセスがありませんでしたが、現在は毎日相当数のアクセスがある状態です。
コンプライアンスに関する社内HP(コンプライアンスWeb)とはどんなものですか?
進藤氏 コンプライアンスに関する情報提供等のHPで、内部統制推進部で制作・更新しています。山武グループの行動基準、倫理月間の役員メッセージや、コンプライアンス責任者/リーダーに対する情報提供専用ページを設けています。コンプライアンス責任者の選任基準や各役割などを掲載したり、コンプライアンス責任者/リーダー研修用の資料や自己点検ツールをダウンロードできるようにしたりしています。現在はなるべくこのHPに誘導すべく資料はメール添付せず、HPに取りにくることを基本としています。今後は軽く読みやすいサイトにしていきたいと考えています。
周知(研修)前と後ではどのような点が変わりましたか?
進藤氏 最近、グループ全体で役員や非正規雇用社員も対象にした、コンプライアンス意識調査を行ったところ回答率は9割弱に達しました。コンプライアンス責任者/リーダーへの研修やeラーニングを通じて、各人の意識が向上してきたのと同時に、責任者/リーダーから職場構成員へ声を掛けることが増えてきたためと思います。
「人を中心とした」がテーマだと思われますが、具体的には(各ステークホルダー(株主・投資家、消費者・お客様、取引先、社会、等々に対して)どのような取り組みをしておられますか?
進藤氏 従業員に対しての取り組みを紹介すると、「柔軟な再雇用制度の導入」「女性の活躍の場の拡大」「知的障害者の雇用を果たす山武フレンドリー株式会社」「社員師弟の海外留学制度」等があります。また、地域社会とのかかわりとして「湘南国際マラソン」「省エネ工場見学会」「小学生への環境教育」「クリーン活動の実施」「社員有志による社会福祉支援活動」「上野エコキッズ探検隊」「Earth Day Tokyo」の取り組みなどがあげられます。(詳しくは「azbil report 2007」に書かれていますので御覧ください)
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